IPアドレスとは一体何でしょうか?
それはインターネットの基礎ともいえる、重要な仕組みです。
そこでここでは、今さら聞けないIPアドレスの基本を、わかりやすく解説したいと思います。
基本やその仕組み、IPv4とIPv6、その歴史に至るまで詳しく紹介します。
IPアドレスとは何かを学んでみましょう。
IPアドレスとは、インターネットに接続する際に、コンピュータごとに割り振られる番号のことです。
またIPアドレスは、Internet Protocol address(インターネット・プロトコル・アドレス)の略です。
人間ではなく、コンピュータが認識するための情報です。
ネットワーク上における、住所のようなものと考えてください。
荷物や郵便を届ける際には、相手の住所が必要ですよね?
ネットワーク上においても、通信をするためには相手の居場所がわかる必要があるんです。
現実の住所は、物理的でリアルな位置情報です。一方でIPアドレスは、デジタルでバーチャルな住所です。
ネットワーク上にのみ存在する、理論的・仮想的な位置情報と言えます。
IT関連でよく目にする「プロトコル」。インターネット上ににおける通信のルールのことです。
IPアドレスは、アメリカにあるICANNという組織を中心とした専門機関によって、世界的に管理されています。
ICANNを大元として、地域ごと、国ごとにIPアドレスの管理団体が存在します。
これらの管理団体をインターネットレジストリと呼びます。
日本におけるIPアドレスの管理団体は、JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)です。
JPNICからプロバイダに対して、IPアドレスはまとまった単位で割り振られます。
プロバイダは個人や企業に対して、利用規約に基づいてIPアドレスを払い出し、割り当てます。
IPアドレスは、プロバイダが勝手にホイホイつくっているわけではありません。
世界に一つだけの、固有のIPアドレスがグローバルIPアドレスです。
他のIPアドレスと重複することはありません。
インターネットに接続するためには、グローバルIPアドレスを使用する必要があります。
通常、プロバイダと契約すると、グローバルIPアドレスが割り当てられます。
企業内、家庭内といったプライベートなネットワークにおいてのみ有効なのが、プライベートIPアドレスです。
固有なグローバルIPアドレスに対して、プライベートIPアドレスは同じものがいくつも存在します。
プライベートIPアドレスはルーターから払い出され、各コンピュータに割り当てられます。
ルーターは、グローバルIPアドレスをプライベートIPアドレスに、またその逆に、内部で変換しています。
通常プロバイダからは、ひとつのグローバルIPアドレスしか貰えません。それでも、複数台の機器をネット接続出来るのは、ルーターのおかげです。
IPアドレスにはバージョンがあります。
今までメインで使われ、世界中に広く普及しているのがIPv4(アイピーブイ4)です。
IPv4は、「192.168.0.1」といったような形で表記されます。
0-255の数字4組で、ドットでつなぎ合わせます。(8ビット × 4 = 32ビット)
長らくインターネットは、IPv4を中心に運用されてきました。
しかし、インターネットが普及し始めた頃から、IPv4の限界は予想されていました。
単純に、IPアドレスの数が足りなくなることが、目に見えていたんです。
それが、「IPアドレスの枯渇問題」です。
IPv4は32ビットで、最大で約43億のIPアドレスを管理できます。
それを利用数が超えれば、当然枯渇します。
しかし、インターネットが始まった初期の頃は、大して問題にはなりませんでした。
もともと、インターネットはアメリカ軍の軍用技術でした。軍の使用に耐えるだけの数が、確保されればよかったんですね。
つまり1980年代以前の考えでは、そこまで民間での使用を想定していなかった訳です。
それが1990年代から、PCとインターネットの急激な普及が始まります。
2000年代にはWiFiの普及、さらに2010年代にはスマホが爆発的に普及します。
インターネットの利用は、急速に増加していきました。
かくしてIPアドレスは、現状のIPv4だけでは賄えない状況になったわけです。
当然、この問題に対して対策は進められました。
グローバルIPアドレスと、プライベートIPアドレスの存在は、この枯渇問題が根本にあるのです。
ひとつのグローバルIPアドレスで、複数台のコンピュータをインターネットに繋げられるようにしたのです。
それがルーターによる、NAT(Network Address Translation)というネットワークアドレス変換を利用したものです。
IPアドレスを節約するためのアイデアですね。
それでも、爆発的に増え続けるインターネット利用に対しては限界がありました。
そして、この問題の根本的な解決策が、IPv6という新しいバージョンのIPアドレスです。
なぜIPv5が無いのか?それはバージョン5が、あくまで実験的なものだったからです。よってIPv4の正当な後継バージョンはIPv6なのです。
IPv4の枯渇問題に対して生まれた、新しいバージョンがIPv6(アイピーブイ6)です。
IPv6は128ビットで約340澗(かん)という、とてつもない数のIPアドレスを管理できます。
340澗とは340兆の1兆倍の1兆倍です。途方もなさすぎて笑えますね。
人の頭でそのスケール感を想像するのは、ほぼ不可能です。まさに天文学的な数字です。
つまりは、絶対に枯渇しないIPアドレスということですね。
IPv6は、「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」といった形で表記されます。
数字や記号が苦手な人は、見ただけで具合が悪くなるかもしれません。
まずグループとグループの間がコロンで仕切られます。8つのグループに区切られていて、それぞれが16ビット、合計128ビットです。そして、それぞれのグループは4桁の十六進数で表されます。
クソややこしいですよね。こんな決まりは別に覚えなくて大丈夫です。
暗号みたいなIPアドレスがIPv6、と覚えておけば十分です。
現状では、IPv4と共存しながらIPv6への移行が進んでいます。
IPアドレスは、インターネットの通信における基礎と言える、重要な仕組みです。
コンピュータが認識するための、ネットワーク上における住所のようなものなんです。
今まで中心的に利用されてきたのが、IPv4というバージョンです。
その枯渇問題に対して生まれた、新しいバージョンがIPv6です。
これからもインターネットが重要であるのと同時に、IPアドレスも重要なものであり続けるでしょう。
その基本を把握しておくことは、何かと役に立つと思いますよ。