「芸術では食っていけない」
昔から決まり文句として繰り返されてきました。
果たして本当にそうでしょうか?
日本の芸術界の現状、業界で生きるために必要なこと、
これからの芸術とビジネスの在り方について、『完売画家』の著者、洋画家の中島健太氏の話から見ていきます。
「画家はいまや、絶滅危惧種です。」
「日本でプロ画家として生計を立てている人は、30人から50人といわれます。」
なぜ、これほどまでにプロ画家が少ないのでしょうか?
「業界の構造上、絵が売れたとしても画家の取り分は、たった3割。これでは、いくら頑張って描いても、画家として生計を立てていくのは難しい。僕はそういう業界をなんとか変えたいと模索し、行動に移してきました。」
「刷り込みもあります。」
「僕の美大生時代、教授でさえ「絵描きは食えない」と言っていました。聞いている学生は「絵描きは食えない」と思い込みます。」
「絵を売るギャラリスト(画商)も「絵描きで食っていくのは難しい」と若手画家を脅かします。」
「世の中も、「絵描きって食えないんだってね」と言い始めます。」
業界の構造的な問題、そして無理だという先入観。それらが大きく障壁となってきたようです。
「人は「できない」と思っているうちはできませんが、「できる」と思った瞬間に脳のセッティングが変わって、できるようになる。「絵描きは食っていける」と思えば、前向きになり、できる方向に向かって歩いていくことができます。」
「プロになるのは難しさもあるけれど、「成功例」もある。それを僕自身が証明し、業界を目指す人を増やしたい、とこれまでやってきました。」
「言うまでもなく、お金がすべてではありません。ですが、経済的魅力がない業界は新規参入が滞り、人材が育たず廃れていく傾向にあります。それを変えたいのです。」
どんな分野でも言えることでしょう。無理だと思っていたら無理になります。
「海外で活躍する日本人アーティストもいます。その中で、僕は日本にこだわってきました。国内で売れて、海外にアプローチする時間がないぐらい忙しくなってしまったということもありますが、それだけではありません。もっと日本人の生活の中に、芸術を浸透させたいという気持ちがあるからです。」
「日本はGDP世界3位の経済大国で、なおかつ世界的にも特殊な百貨店での芸術品販売マーケットがかなり太く確立されています。その年間の市場規模は、およそ700億円。」
「百貨店という老若男女問わず入れる大型店で芸術品が買えるのは、世界広しといえども日本ぐらいです。ほかの国では、ギャラリーに行かなければ買うことができません。」
「日本は世界的に見て、じつは最も芸術に対するアプローチのハードルが低い国です。」
「バブルの時代は、日本では絵は掛けるそばから売れていったので、少しお高くとまっていたところがあります。百貨店の美術画廊はだいたい6階や7階にありますが、気がついたら誰も行かなくなってしまいました。」
「せっかく誰でも行ける場所で芸術品が売られているのだから、もっと日本国内で芸術を広めていきたいと思っています。」
芸術は人間が生きる上で不可欠です。それを社会全体が奨励する様になっていって欲しいと思います。
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芸術では食えないのか?そのリアルを見てみました。
現状の芸術界、芸術市場の構造、無理だという思い込み、そういった点がハードルとして存在するようです。
しかし、どんな業界だろうとプロとしてやっていくのは大変です。
また今の時代においては、様々なアプローチの仕方があるでしょう。
無理だと決めつけで入るのではなく、どうすればいいかという発想が重要だと感じました。