僕は映画が大好きです。
様々な世界を体験させてくれて、実にたくさんの感動をくれるからです。
そんな僕が、誰にでも胸を張っておすすめできるのがピクサー映画です。
子供だけでなく、大人も楽しむことが出来る傑作揃いなんです。
ピクサーの魅力を、少しでも多くの人の知って欲しいです。
また創作活動をするクリエイターにとっても、ピクサーはまさにお手本だと思います。
あらゆるクリエイティブが、詰まっています。
ここではそんなピクサー映画の魅力を、わかりやすく解説していきます。
ピクサーはアカデミー賞のアニメ部門を、史上最も多く受賞しているアニメスタジオでもあります。
ピクサー映画の魅力はまず何と言ってもストーリーの面白さであり脚本の秀逸さです。
ピクサー映画は、あらゆるクオリティが高いです。その中でも、クリエイター達が最もこだわっているのはストーリーです。
ピクサーでは、妥協のないストーリーテリングを徹底しています。制作中のストーリーを、社内の他のチームにも見せ、意見を聞きます。
そして、納得のいくストーリーが出来ない限り決して作品を公開しません。
それは代表作「トイ・ストーリー
各シリーズどれもが非常に評価の高い作品です。現在1から4までのシリーズがあります。
その公開から次回作公開までの期間は、4年から長いもので11年にもなります。
それだけの時間をかけて、納得のいくストーリーづくり、作品づくりをしているのです。
「よいストーリーがなければ、続編はつくらない」という信念があるのです。
これはピクサーの
クリエイター中心の経営体制
が大きく影響しています。
日本のテレビ業界のような経営者主導ではなく、現場のクリエイター主導のものづくりをしているのです。
故に目的が利益ではなく、より良い映画をつくることにあるのです。
さらにピクサー映画の特徴を上げるならば魅力的なキャラクターです。
ストーリーを最重視しているピクサーにおいて、同時にキャラクターも最重要事項です。
ストーリーとキャラクター、それらが生み出す世界観こそがピクサー映画の命と言えます。
最先端のテクノロジーによる美しい映像は、このストーリーとキャラクターという土台の上でこそ、大きな価値を生みだします。
いかに最先端であっても、技術だけでは素晴らしい作品は生まれません。
そして魅力的なキャラクターを生み出す秘訣は、その優れたストーリーづくりにあります。
ピクサーにはストーリーテリングと同様に、キャラクターづくりに関しても素晴らしいノウハウがあります。
ピクサーのキャラクターには主体性があり個性があります。
得意なことや好きなことがハッキリしており、同時に弱点もあります。周りの言うことを何でも聞く、いい子ちゃんの主人公は一人もいません。
そしてストーリーの中で現実の厳しさや困難に出会い、それと対峙し葛藤や挑戦をしていきます。
優れたストーリーの中で、キャラクターの信ぴょう性が高まるのです。
こうして親近感や魅力あふれる、ピクサーのキャラクターが生まれていきます。
ピクサーのものづくりの特徴に「シンプルなデザイン」と「細部へのこだわり」があります。
一見して矛盾する要素に見えますが、ピクサーではこの2つを見事に両立させています。
まず、キャラクターデザインやストーリーの中の設定は、極力シンプルなものにまとめられています。
これは、観る人が分かりやすく、楽しめるための創意工夫です。
複雑なものを分かりやすくまとめ、物事の本質を追求し、できるだけシンプルな表現をしているのです。
そして同時に、細部へのこだわりは圧倒的です。
ちょっとした小道具まで丹念につくり込まれた世界観は、観るものを引き込みます。
汚れなど表面の質感、様々な光の照明、特殊効果によるアクション、いずれをとっても凄いクオリティです。
ちょっとした細部にも手を抜かず、徹底してこだわったつくり込みをしています。
この2つのこだわりは、スティーブ・ジョブズがアップルでつくったものと共通しています。
そう、iPhoneやiPadやMacです。
極限まで「シンプルなデザイン」でありながら、圧倒的な「細部へのこだわり」があります。
なぜピクサーとアップルに共通点があるかというと、スティーブ・ジョブズこそピクサーの創立者の一人だからです。
これはあまり知られていないかもしれません。
ジョブズのものづくりの精神が、ピクサーにも息づいているのです。
こうして「シンプルなデザイン」と「細部へのこだわり」が、ピクサー映画の特徴として培われてきました。
「芸術はテクノロジーの限界に挑み、テクノロジーは芸術に閃きを与える」 “The art challenges technology and the technology inspires the art.”
上の言葉は『トイ・ストーリー
ピクサーの偉大な功績の一つが、アートとテクノロジーの融合です。
最先端のテクノロジーを、アニメーションという形のアートと組み合わせたのです。これはスティーブ・ジョブズが得意としたイノベーションでもあります。
フルCGのアニメーション映画は、今では主流になりました。
しかし1995年に、ピクサーが初作品である『トイ・ストーリー』を公開するまで、誰もそんなものは見たことがありませんでした。
僕はこうした、アートとテクノロジーを合わせるという、ピクサーの考えがとても好きです。
アートはテクノロジーの発展と共にあると思います。
遠近法、解剖学、撮影技術、情報技術、など様々なテクノロジーの進化です。それにより芸術の表現の幅は大きく広がってきました。
テクノロジーは争いのためにあるのではなく、人が充実した豊かな人生を送るためにあるのです。
アートの創作のために利用することは、テクノロジーの本来あるべき姿だと思います。
「ハングリーであれ、バカであれ。」 ”Stay hungry, stay foolish“
これは、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った、スピーチの中の言葉です。
ピクサーの映画は、常に飽くなき探求心を持っています。
これまでの常識の枠にとらわれず、誰も見たことのない斬新な作品を創り続けています。
どの作品も、設定・アイデア・コンセプトがとてもユニークです。
こうした挑戦のスピリットは、ピクサーのものづくりの原点であり信念です。
これは、失敗する恐怖と常に戦っていることも意味します。
ピクサーは間違いなく、最も成功を収めた映画スタジオのひとつです。
しかし、多くのクリエイターが、そのインタビューの中で、失敗への恐怖や制作の困難さを語っています。
おごりなどは微塵もなく、常にハングリー精神を持って、挑戦を続けているのです。
ピクサー映画の大きな魅力の一つが、
人間性を描くことへのこだわりです。
これは、スタジオジブリとも共通している、ヒューマニズムの精神です。
つまり、人間の素晴らしさを表現することです。
ピクサー映画には、人間以外の主人公も多いです。しかし、そこで描かれているのは、紛れもない人間性そのものです。
どのキャラクターも人間性を持っており、感情があり魂があります。挑戦や失敗、挫折や成長があります。
そこで描かれている人間性に、人々は感動しているのです。
またピクサーには、何気ない日常も丁寧に作り込む、という特徴があります。これも、ジブリと共通したこだわりです。
何気ない日常の中にこそ、人間性はよく表れるからです。
また、ピクサーとジブリはとても深い関係があります。ピクサー関係者はほとんどが、ジブリアニメのファンです。
ジョン・ラセターはじめ、監督たちの多くが、スタジオジブリをリスペクトしており、その作品にも大きく影響を受けています。
会社同士の交流も多く、ジブリのキャラクターがピクサー映画の中に出演したこともあります。
そういった点も、ピクサー映画の魅力をより高めている要素の一つでしょう。
ピクサー映画を観ると、人にもおすすめしたくなります。
なぜなら、人は感動すると、それを他の人とも分かち合いたいと思うからです。
僕がピクサー映画の魅力を語るのも、まぎれもなく僕自身が感動したからに他なりません。
少しでも多くの人にそうした感動を味わってほしいのです。
人の感情を刺激し、感動を伝染させる。これこそまさに芸術ではないでしょうか。