神話が芸術の価値を示していた

世界中の神話を見てみると、ある共通点があります
それは、多くの神話が世界の始まりを「創造」の物語として語っていることです。
たとえば旧約聖書では、神が世界を創造します
「光あれ」と言葉を発することで、光が生まれます。
空と海が分かれ、大地が生まれ、動物が生まれ、人間が生まれる。
つまり世界は、神の「創造」によって生まれたとされています。
北欧神話でも似たような構造があります。
世界は、巨人ユミルという存在の身体からつくられます。
骨は山になり、血は海になり、頭蓋骨は空になる。
こうして世界が形作られていきます。
また古代ギリシャ神話では、神々が芸術や音楽を司っています。
芸術の女神として知られるミューズたちは、詩や音楽、歴史、物語などを人間に授ける存在でした。
つまり古代の人々は芸術や創造という行為を、神聖なものとして考えていたのです。
ここで興味深いのは、神話の中では創造することが、神の力として描かれている点です。
何もないところから世界をつくる。
物語を語り、意味を与える。
それはまさに、人間が芸術を作るときに行っていることと似ています。
絵を描くとき、人は白いキャンバスの上に世界をつくります。
音楽を作るとき、人は沈黙の中からメロディを生み出します。
物語を書くとき、人は存在しない世界をつくり出します。
つまり芸術とは、小さな世界の創造とも言えるのです。
もしかすると古代の人々は、直感的にこう感じていたのかもしれません。
人間が何かを創造するという行為は、神の力に少しだけ近づく行為なのではないかと。
もちろん、神話は科学的な説明ではありません。
しかし神話は、人間が世界をどう理解していたのかを示す重要なヒントでもあります。




















