ギリシア神話

最強の神々!オリュンポス十二神をわかりやすく解説!

ギリシア神話はとても魅力的です。

西洋文化に深く根づいており、その感性やイメージは現代においても影響を与え続けています。

そして、このギリシア神話を代表する神々が「オリュンポス十二神」です。

オリュンポス十二神を詳しく解説!

ギリシア神話における最高位の神々であり、最も重要な役割を担っています。

それぞれの特徴や性格まで、まるごと理解できる解説をつくりました。

僕はアーティストでブロガーでKindle作家をしている、日下晃と申します。

もともと大学では西洋史専攻でした。そのため西洋の歴史や文化を、わかりやすく紹介するのが得意です。

またギリシア神話や北欧神話も専門で、このブログでも人気コンテンツとなっています。

そんな訳で、ギリシア神話を多くの人に楽しんでもらえればと考えています。

ヒーローものや冒険ものが好きなら、まず間違いなく楽しめる内容だと思います。

それでは、はるか遠い古代ギリシアの時代に培われた、壮大なる世界を感じてみてください。

ギリシア神話は西洋文化の源流とも言えるものです。

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オリュンポス十二神

ギリシア神話において、オリュンポス山頂の宮殿に住まうと伝えられる神々が、オリュンポス十二神です。

現実世界において祀られ信仰の対象となっているのも、主にこのオリュンポス十二神になります。

主神ゼウスをはじめとする男女6人ずつで構成され、ギリシア神話において主要な役割を担っています。

ゼウス

ギリシア神話における主神であり、最高神がゼウスです。

ローマ神話におけるユピテルで、英語だとジュピターです。木星のことも意味します。

クロノスと女神レアの間に生まれました。

神々の王でもあり、絶対的な力を持っています。全宇宙や天候を支配しており、ケラウノスという雷を武器にして戦います。

全宇宙を破壊できるほどの圧倒的な強さを誇り、天空神や雷神とも呼ばれます。

悪を罰する正義と慈悲の神であり、秩序を脅かす者は徹底して排除する荒ぶる神でもあります。

しかし同時に、次々と女性に手を出しては子孫を増やす、好色な神でもありました。

これは強力な神々や、英雄たちを生み出すためでもあります。

人間とのあいだにできた子は、ヘラクレスやペルセウスといった半神半人の英雄となりました。

雷、鷲、牡牛などが象徴のシンボルです。

巨人たちとの戦争や最強の怪物テュポーンとの戦いで、ゼウスはその圧倒的な強さを発揮します。

ヘラ

ゼウスの妻であり、最高位の女神がヘラです。また婚姻の神であり、女性の守護神です。

ローマ神話におけるユーノーで、英語だとジュノです。6月を意味するジューンの由来でもあります。

クロノスと女神レアの間に生まれます。

気が強く嫉妬深いとされ、自分の気に入らない者には容赦なく罰を与えました。

しかし、浮気ばかりのゼウスとは対照的に、ヘラ自身は貞淑でした。

天の川は、英雄ヘラクレスに授乳している際に飛び散った、ヘラの母乳から出来たといわれています。

牝牛、孔雀、百合、ざくろ、りんご、松明などが象徴のシンボルとされます。

ジューン・ブライド(6月の花嫁)が好まれるのは、その象徴となるヘラが婚姻を司る女神だからです。

アテナ

戦いと知恵を司る女神がアテナです。

ギリシアの首都アテネの由来であり、この都市の守護神でもあります。

ローマ神話におけるミネルヴァで、英語だとミナーヴァです。

ゼウスの頭部から誕生したとされます。

美と知恵を兼ねそろえた女神で、理性的で気高い戦士として登場します。

信仰の対象として、古代ギリシアの頃から非常に人気がありました。

あの有名なパルテノン神殿は、このアテナを祀っています。

またアテナは「アイギス」という神聖な防具を装備しています。

ヘパイストスがつくった防具で、あらゆる邪悪や厄災を払う力があるとされています。

胸あて、肩あて、盾などがアイギスであるとされます。

英雄ペルセウスが討ち取った怪物メデューサの首を、アテナはこのアイギスにはめ込み、より優れた防具にしました。

オリーブとフクロウが象徴のシンボルです。

ちなみにイージス艦の由来は、アテナの防具アイギスからきています。

オリーブと古代ギリシア

古代ギリシアの栄えた地中海地域は、暑く乾燥した気候です。果樹栽培に適しており、古代からオリーブやワインが主要な生産物でした。特にオリーブは交易品として重要で、ギリシアの繁栄を支えました。またオリーブは、女神アテナから贈られた聖なる木とされています。

アポロン

予言と芸術を司る神がアポロンです。

ゼウスと女神レトとの間に生まれました。ローマ神話でも同じ名前です。

牧畜と光明の神でもあり、また太陽神ヘリオスとも同一視されます。

さらに医術を人間に教えた神でもあります。非常に多くの性格を持った神といえます。

金の弓矢を武器として戦い、優れた弓の名手です。矢には疫病の性質があり、射られたものは即死します。

ピュトーンという大蛇の怪物を、その弓矢で打ち取りました。トロイア戦争においては、敵兵を次々と射抜きました。

また、リラという竪琴を奏でる、文化的な面も持ち合わせます。

その一方で、皮剥ぎといった冷酷で残忍な面も持ちます。

アポロンとダフネの物語により、月桂樹がそのシンボルとされます。

NASAのアポロ計画は、その名の通りアポロンが由来です。

アフロディーテ

愛と美の女神がアフロディーテです。

ローマ神話におけるウェヌスです。英語ではヴィーナスで、また金星を意味します。

豊穣の女神でもあり、元々は古代の地母神がその原型であったと考えられています。またエロスの母とされます。

ヘパイストスの妻でもありますが、貞淑さは皆無の恋多き女神で、多くの浮名を流しました。

アフロディーテのつけている魔法の宝帯には、神や人の心を征服することができる力が備わっています。

またアフロディーテも気が強く、ヘラとアテナとの間で、最も美しい女神は誰かの争いになります。

パリスの審判でアフロディーテが選ばれますが、それがトロイア戦争の発端となりました。

クロノスによって切り落とされた、ウラノスの男性器にまとわりついた泡から生まれた、というなんとも奇妙な誕生の物語があります。

象徴のシンボルは、イルカ、白鳥、バラ、真珠などです。

雌を示す性別記号「♀」はフェミニンと言って、もともとは金星やアフロディーテをあらわすものです。

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アレス

戦争を司る軍神がアレスです。

ローマ神話におけるマルスで、英語だとマーズです。火星も意味します。

ゼウスとヘラの間に生まれました。

アテナが戦いにおける智略の象徴であるのに対し、アレスは戦場での凶暴さや荒々しさの象徴です。

四頭の馬に引かせた戦車に乗って、戦場を駆け巡りました。

ギリシア神話ではやたらと嫌われ者ですが、ローマ神話のマルスとしては人気があり厚く信仰されていました。

有名な女性部族のアマゾネスは、アレスの末裔とされています。

また古代ギリシアの裁判所は、アレスの名を冠したアレオパゴスという丘にありました。

象徴とされるシンボルはオオカミやイノシシです。

雄を示す性別記号「♂」はマスキュラといって、元々は火星やアレスのことを示すものでした。

アルテミス

狩猟と純潔を司る女神がアルテミスです。

また月の女神セレネーと同一視されます。

ローマ神話ではディアナで、英語読みはダイアナです。

ゼウスと女神レトとの間に生まれ、アポロンとは双子とされます。

銀の弓矢を武器としており、森で鹿などの動物を狩ります。矢には疫病の性質があり、射られた者は即死します。

そしてアテナと同様に、戦いにも参加する女神です。

オリュンポス十二神と巨人たちとの戦争においても、活躍を見せました。

アフロディーテと同様に、元々は豊穣を司る地母神が原型であったと考えられています。

またオリオンとの物語が有名です。

熊、鹿、猟犬、糸杉などが象徴のシンボルです。

よもぎの学名はアルテミシアといって、アルテミスがその由来です。

デメテル

大地と豊穣の女神がデメテルです。

ローマ神話ではケレースです。英語だとシリーズで、穀物を意味するシリアルの語源でもあります。

クロノスと女神レアの間に生まれました。

地母神として、非常に古くから信仰されていたと考えられています。農耕民族の神話から生まれた、大地の女神です。

またデメテルは、穀物栽培を人間に教えたとされています。

数多の女神の中でも最高位の存在とされ、デメテルがいなくなると大地は荒れ果ててしまいます。

また十二星座のおとめ座は、デメテルだとされます。

おとめ座が天に上がらない期間は、穀物の育たない冬になるのです。

象徴となるシンボルは麦、角、松明などです。

女神が隠れてしまい世界が荒涼とする。これは日本神話のアマテラスの物語にも類似しています。

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ヘパイストス

炎と鍛冶の神がヘパイストスです。

ローマ神話におけるウルカヌスで、英語だとヴァルカンです。火山を意味するボルケーノの語源でもあります。

ゼウスとヘラの最初の子であり、足が不自由な奇形でした。またアフロディーテの夫でもあります。

基本的に自分の工房で、様々な武器や道具をつくっています。

ヘパイストスは神々や英雄たちが使う、数々の武具をつくりあげました。

象徴となるシンボルは、ハンマー、鉄床、やっとこ、武具、帽子などです。

始祖の神の最初の子が不具になるという逸話は、世界中の神話に共通して見られます。日本神話のヒルコも同様です。

ヘルメス

伝令の神がヘルメスです。

ローマ神話におけるメルクリウスで、英語だとマーキュリーです。また水星を意味します。

ゼウスと女神マイアの間に生まれました。

ギリシア神話におけるトリックスターで、早足で駆け抜け、神々の使いとして活躍します。

交渉にも長け、抜群のトラブル処理能力を持ち合わせる有能な神です。

またアルゴスという百眼の巨人を討ち取ります。

そしてヘルメスは、一人で様々なアイテムを装備しています。

伝令と魔法の杖、羽の生えた空を飛べる黄金のサンダル、アダマントでつくられた武器などです。

これらのアイテムを駆使してあらゆる地に出向き、様々な難題を解決しました。

またこれらの装備が、そのまま象徴のシンボルになっています。

ヘルメスの持つ「カドゥケウス(ケーリュケイオン)」は、2匹の蛇が巻きついた杖で、現代においてもシンボルとしてよく利用されています。

ポセイドン

海と地震の神がポセイドンです。

ローマ神話におけるネプトゥーヌスで、英語読みはネプチューンです。また海王星を意味します。

クロノスと女神レアの間に生まれました。

トライデントという三叉の槍を武器として使い、海洋の全てを支配しています。

全大陸すら影響下にあり、怒り狂うと巨大な地震を引き起こして全世界を揺さぶります。

その強さはゼウスに次ぐ圧倒的なものでした。

海上交易が盛んな地中海世界では、篤く信仰されてきました。

また馬を創造し、人間にその扱い方を教えたとされます。

武器のトライデントが象徴のシンボルです。

SF作品でよく扱われる伝説の島アトランティスは、ポセイドンとその末裔が治めていたとされます。

神話と心理学との関係

神話は心理学とも密接な関係があります。心理学の権威ユングは、人には「集合的無意識」があることに注目しました。誰であれ無意識の深層には、神話的な共通のパターンがあるというものです。ユングはこれを元型(アーキタイプ)と呼びました。

ヘスティア

かまどの女神がヘスティアです。

ローマ神話におけるウェスタで、英語だとヴェスタです。

クロノスと女神レアの間に生まれました。

かまどは現代でいうところのキッチンにあたります。つまりヘスティアは、家庭生活の守護神ということです。

かまどを守るためその場にとどまるので、ヘスティアは神々の戦いにはあまり介入しません。

またヘスティアの火は、神殿における聖火でもあります。

このヘスティアに捧げられた火は、古代ギリシア人にとって非常に神聖なもので信仰の対象でした。

象徴となるシンボルは、かまど、聖火、ロバなどです。

古代ギリシアの神殿では、絶えず聖なる火が燃やされていました。ヘスティアはその象徴として、あつく信仰されました。

ディオニュソス

酒と酩酊の神がディオニュソスです。

ゼウスとセメレーという女性の間に生まれました。

ローマ神話におけるバックスで、英語読みはバッカスです。

冥界へと通じる湖に飛び込んで、死んだ母セメレーを救い出し、神々の仲間入りをしました。

ブドウの栽培とワインのつくり方を、人々に教えたとされます。

また、自分の神性を認めない人々を狂わせたり、動物に変えたりしました。

ヘスティアの代わりに、ディオニュソスをオリュンポス十二神に数えることもあります。

哲学者ニーチェは、対概念としての「アポロン的」「ディオニュソス的」という形容方法を生み出しました。

『超訳 ニーチェの言葉』

ワインと古代ギリシア

オリーブと並び、古代ギリシアの重要な交易品がワインです。古くからブドウの栽培によるワインの生産が盛んで、古代ギリシア繁栄の要素のひとつとされます。ここから地中海全体に、ワイン文化が広まっていきました。

ハデス

冥界を支配する神がハデスです。

地下の冥界を治めているためオリュンポス十二神ではありませんが、ギリシア神話において重要な役割を担う神です。

ゼウス、ポセイドンに次ぐ実力者でもあります。

クロノスと女神レアの間に生まれました。

ローマ神話におけるプルートーで、英語でも同じ読みです。また冥王星を意味します。

妻である女神ペルセポネと共に冥界を治めています。また三つ首の番犬、ケルベロスを従えています。

冥界にはアケロンやコキュートスといった河が流れていて、エリュシオンという楽園もあります。最下層がタルタロスです。

『ギリシア神話の幻獣たち

まとめ

オリュンポス十二神を詳しく紹介しました。

とても個性的で人間味のある神々です。

その強さだけでなく、自由で生き生きとした性格が非常に魅力的なのです。

彼らの神話を読むとき、いつの時代も変わらない、人間の普遍的な精神性を感じることができます。

そのため古代から現代に至るまで、人々の心をつかんで離さないのでしょう。