ギリシア神話

神々の交響曲!ギリシア神話の様々なエピソードを紹介!

ギリシア神話は、いつの時代においても語り継がれてきました。

西洋世界においては、聖書に次いで文化的•精神的な基盤となっています。

それは、人々にとって普遍的な価値を持っているからです。

ギリシア神話のエピソードは、いつの時代も語り継がれてきた。

ここでは、そんなギリシアの物語を紹介したいと思います。

とても面白味に溢れたエピソードたちです。

それらが語るものは、様々な形のメッセージであり、知恵の物語です。

その魅力や面白さを感じてみてください。

僕は大学で西洋史を専攻していました。西洋の文化や歴史なら任せてください。

歴史や文化もわかる 西洋美術史の教科書

勇ましく猛々しい!北欧神話の神々を一覧で総まとめ!

ファンタジーの定番!北欧神話に登場する怪物たち!

王道ファンタジー!北欧神話に登場する武器や神器!

ギリシア神話とは何か?

ギリシア神話は、古代ギリシア地方において信仰された神話体系です。

非常に多くの神々が登場し、様々な物語をつくり上げています。

ギリシア神話の特徴
  • とても多くの神々が登場する
  • 神々は個性豊かでとても人間味がある
  • 教典や教義が無い

また神々だけでなく、人間の英雄も登場して活躍します。

基本的に自然崇拝の多神教です。

登場する神々はみな個性的で、その性格も非常に人間味を感じさせます。

ギリシア神話における様々な物語

ギリシア神話には、とても多くの神々が登場します。

彼らは特徴も性格も様々で、実にバラエティー豊かです。

また英雄をはじめ、人間たちも数多く登場します。

オリュンポスの神々を中心として、様々な物語が語られています。

天空を支え続けるアトラス

巨体を誇るティタン神族のアトラスは、

ティタノマキアにおいて、オリュンポスの神々が最も苦戦した相手でした。

そこでゼウスは、戦いが終わった後も特別な罰を与えます。

それは世界の西の果てで、天空を背負って支え続けるというものでした。

人間に火を与えたプロメテウス

プロメテウスは人間に火を与えた神です。ティタン神族のひとりになります。

あるときゼウスを騙して、人間の味方をしました。怒ったゼウスは、人間たちから火を取り上げます。

するとプロメテウスは天界から火を盗み、また人類に与えたのでした。

人間たちは火を利用して文明を築きますが、同時に武器をつくり出して戦争を始めてしまいました。

これを見てゼウスは怒り、プロメテウスを捕らえると拷問を与えます。

それは山頂に磔にされ、生きたまま肝臓を大鷲についばまれ続ける、というものでした。

長い年月の後、旅の途中のヘラクレスが通りかかり、この大鷲を弓矢で射抜きます。

これによりプロメテウスはようやく解放され、その後ゼウスとは和解したとされます。

パンドラと人類の厄災

プロメテウスを罰したゼウスは、人間にも罰を与えることにしました。

そして鍛治の神であるヘパイストスに命じて、「女性」というものをつくらせます。それまで人間には男性しかいませんでした。

そして女神たちに似せた最初の女性「パンドラ」が完成します。

ゼウスは彼女に「絶対に開けてはいけない」と言い含めて箱(もともとは甕)を渡しました。

そしてパンドラは、プロメテウスの弟エピメテウスに贈られ、2人は結婚します。

しばらく平穏が続いたものの、あるときパンドラが好奇心に負けて、箱のふたを開けてしまいます。

すると箱からは、人間の苦しみや死の原因となる、ありとあらゆる厄災が溢れ出しました。

これ以降、人間たちはその災いに苦しめられる様になったとされます。

ただ箱の底には、ひとつだけ飛び出さず残っているものがありました。

それは「希望」でした。

この希望が残されたため、人間は苦しくても生きていけるとされます。

デメテルの放浪

オリュンポス十二神のひとりであり、大地と豊穣の女神がデメテルです。

あるとき愛娘のペルセポネが、冥府の王ハデスにさらわれてしまいます。

そして実は、ペルセポネに恋をしたハデスのため、ゼウスが計画したものだと知ります。

デメテルはゼウスのもとへ行き、激しく抗議をしました。

ゼウスは「冥府の王ハデスなら、夫としても相応しいだろう」と言います。

これを聞いたデメテルは、さらに激しく怒りました。

そして女神の仕事を放棄して、ペルセポネを取り戻すため、放浪の旅に出てしまいます。

デメテルがいなくなったことで作物が育たなくなり、大地は荒れ果ててしまいました。

困ったゼウスは、オリュンポス十二神のヘルメスを、使者としてハデスのもとへ送りました。

これにより、ペルセポネを地上へと帰還させます。

デメテルは大いに喜び、また仕事に戻ると、大地は実りを取り戻しました。

女神が隠れてしまい、世界が荒涼とする。これは日本神話のアマテラスの物語とも類似しています。

アテナとポセイドンの勝負

あるときアッティカという土地の支配権を巡り、女神アテナと海神ポセイドンの間で争いが起こりました。

協議の結果、それぞれがアッティカの人々に贈り物をして、より良い方がこの土地の守護神となることが決まります。

そして、オリュンポス十二神同士の勝負が始まりました。

ポセイドンは三叉の槍トライデントで地を打ち、塩水の泉を湧かせました。

一方のアテナは、オリーブの木を生じさせました。

この2つを比べたところ、オリーブの方が良いと決まり、勝負の軍配はアテナに上がります。

かくして土地はアテナのものとなり、アテナイという都市が築かれました。

これが現在のギリシアの首都アテネの由来です。また有名なパルテノン神殿は、女神アテナを祀ったものです。

オリーブと古代ギリシア

古代ギリシアの栄えた地中海地域は、暑く乾燥した気候です。果樹栽培に適しており、古代からオリーブやワインが主要な生産物でした。特にオリーブは交易品として重要で、ギリシアの繁栄を支えました。またオリーブは、女神アテナから贈られた聖なる木とされています。

ヘラクレスと12の難業

ギリシア神話の中でも最も有名な、無敵の英雄がヘラクレスです。

ゼウスと人間の女性との間に生まれました。

その強さはオリュンポス十二神に匹敵するほどで、桁違いのものです。

神々の大戦争ギガントマキアにも参加して、オリュンポス十二神を助けました。

ヘラクレスは様々な冒険を乗り越えて、数々の功績をあげていきます。

それがヘラクレスによる12の難行です。

数々の猛獣を生捕りにし、ヒドラや巨人といった怪物たちとも戦いました。

死後は天に登り、ヘラクレス座となりました。

ジブラルタル海峡

ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸を隔てるジブラルタル海峡。これはヘラクレスがつくったとされています。あるとき目的地へ向かう途中、巨大な山脈がありました。近道をしようと思ったヘラクレスは、怪力で山を真っ二つにしました。その時に大地も裂けて大西洋と地中海がつながります。この神話にちなみ、ジブラルタル海峡にある岩山は、「ヘラクレスの柱」と呼ばれています。

ナルキッソスと自己愛

あるとき森の精霊エコーは、ナルキッソスという美少年に恋をします。

しかしエコーは女神ヘラの怒りを買って、他人の言葉を繰り返すことしかできない状態でした。

エコーはナルキッソスに近づきますが、会話が成り立たず、退屈だと見捨てられます。

悲しみのあまりエコーは身体を失い、声だけの精霊となってしまいました。

これを見て怒ったのが、罰を与える神ネメシスでした。

そしてナルキッソスが、ひたすら自分だけを愛する様にします。

ナルキッソスは水を飲もうとすると、水面に映る自分の顔に恋をしてしまいます。

そして水辺から離れられなくなり、痩せ細って死んでしまいました。

ナルシストの由来として有名な物語です。またエコーも、反響の由来として知られます。

テセウスの怪物ミノタウロス退治

テセウスは、怪物ミノタウロス退治で有名な英雄です。

アテナイの王族の生まれですが、ポセイドンが親である半神半人だという説もあります。

テセウスもまた、数々の冒険を乗り越えて功績をあげました。

最も有名な冒険譚が、クレタ島のミノタウロス退治です。

クレタ島では、迷宮に封印されている怪物ミノタウロスへ、生け贄として少年少女が毎年のように捧げられていました。

これに憤りを感じたテセウスは、自ら生贄の一人となり、クレタ島に乗り込みます。

また、ミノタウロスが幽閉されているラビリンスは、内部が複雑な迷路になっていました。

しかしテセウスは、アリアドネという娘からもらった糸を使い、これを攻略します。

そして、ミノタウロスを見事に打ち倒したのでした。

クレタ島

地中海に浮かぶ、ギリシア最大の島がクレタ島です。古代ミケーネ文明が栄えた場所で、ギリシア神話発祥の地とも考えられます。たびたび神話の中でも登場し、主神ゼウスが生まれ育った場所でもあります。また現在では、観光地としても人気があります。

ピグマリオンとガラテア

ピグマリオンはキプロス島の王であり、彫刻家でもありました。

現実の女性に失望していた彼は、理想の女性の彫像をつくり、ガラテアと名づけました。

やがてピグマリオンは、その彫刻に恋をしていきます。

そして彫像から離れられなくなり、次第に衰弱していきました。

その様子を見たアフロディーテは同情し、彫刻であるガラテアに生命を与えます。

ピグマリオンは喜び、ガラテアと結婚しました。

ミダス王と黄金

ミダスは、都市ペシヌスの王でした。

師をもてなしたお礼にと、酒と酩酊の神ディオニュソスから「どんな願いも叶える」と言われます。

そこでミダスは「自分が触れるものすべて黄金に変わる力が欲しい」と言います。

ディオニュソスは、この願いを叶えます。

そしてミダスが触れるものは、小枝でも石でも、何でも黄金へと変わりました。喜んだミダスは宴を開きます。

ところが、ミダスが飲み食いしようとした水や食べ物まで、黄金へと変わってしまいました。

さらに、ミダスのもとへ駆け寄ってきた娘まで、触れた途端に黄金へと変わりました。

飢えと乾きで絶望したミダスは、ディオニュソスに祈ります。

そこでディオニュソスは、川で身体を洗い清めなさいと告げます。

ミダスが言われた通りにすると、ものを黄金へと変える力は消え、元に戻りました。

そして以後、この川では砂金が取れるようになったと伝えられます。

ワインと古代ギリシア

オリーブと並び、古代ギリシアの重要な交易品がワインです。古くからブドウの栽培によるワインの生産が盛んで、古代ギリシア繁栄の要素のひとつとされます。ここから地中海全体に、ワイン文化が広まっていきました。

ペルセウスと怪物メデューサ

ペルセウスは、ゼウスと人間の女性の間に生まれた、半神半人の英雄です。

あるとき怪物ゴルゴン三姉妹のひとり、メデューサの討伐を命じられました。

ゴルゴンは頭髪が蛇になっている怪物で、その姿を見た者は石になってしまいます。

ペルセウスは、女神アテナと伝令神ヘルメスの助けを借ります。

青銅の盾や姿を消せる兜、空を飛べるサンダル、アダマスの鎌といった装備を授かりました。

これらの装備を駆使して、見事メデューサを討ち取ったのでした。

メデューサの首は石化の能力を保持し続けており、ペルセウスのその後の冒険でも、度々利用されました。

『ギリシア神話の幻獣たち

トロイア戦争の発端、パリスの審判

トロイア戦争は、ホメロスの叙事詩「イリアス」に語られる、ギリシャとトロイアとの戦争です。

この戦争のきっかけは、女神たちによる些細な争いでした。

あるときオリュンポスで結婚式が開かれますが、そこに招待されなかった不和の女神エリスは怒り、

「最も美しい女神へ」と記された黄金のリンゴを、宴の席に投げ入れます。

これにより、ヘラ、アテナ、アフロディーテの3人の女神が争いを始めました。

ゼウスは争いを収めるため、リンゴが誰にふさわしいかの判断を、トロイアの王子パリスに委ねました。

そして、パリスはアフロディーテを選びます。

その結果パリスは、スパルタ王の妃ヘレネーを与えられました。

これに怒ったのが、スパルタ王の兄でミュケナイの王であるアガメムノンです。

アガメムノンは遠征軍を組織すると、トロイアへと進軍しました。

こうして、トロイア戦争が始まったのです。

トロイア戦争の英雄アキレウス

ホメロスの叙事詩『イリアス』の主人公でもあるのが、英雄アキレウスです。

女神テティスと、人間の王の間に生まれました。

トロイア戦争においてギリシア側で戦い、獅子奮迅の活躍を見せます。

たったひとりで形成を逆転させるほど、戦場において無敵の強さを誇りました。

あるとき、ギリシア側の総大将アガメムノンの横暴に腹を立て、アキレウスは戦線を離脱してしまいます。

これにより、ギリシア側は不利に陥りました。

そこでアキレウスの友人パトロクロスが出陣しますが、トロイア最強の戦士ヘクトルに討たれます。

これに深く嘆いたアキレウスは、戦場に戻ります。

そしてヘクトルを倒し、仇を討ったのでした。

しかし戦争に勝利する直前に、唯一の弱点である踵に矢を受けます。

その傷がもとで、アキレウスは命を落としたのでした。

トロイア戦争の終結、トロイの木馬

ギリシア軍はトロイアの城壁を破れず、戦争は長引き膠着していました。

その中でギリシアの英雄オデュッセウスは、ある作戦を考案します。

ある朝、戦場からギリシア軍が消え、巨大な木馬が残されているのをトロイア軍は発見しました。

そしてギリシアがあきらめて退却したと考えたトロイアは、木馬を戦利品として持ち帰ります。

これこそがギリシアの作戦でした。

木馬の中にはギリシア兵が潜んでおり、それを敵の手によって運ばせたのでした。

夜になり、木馬から出てきたギリシア兵は、トロイアの城門を開け放ちます。

そしてギリシア軍が雪崩れ込むと、トロイアは一気に制圧され陥落しました。

かくしてギリシアが勝利し、トロイア戦争は終結したのでした。

オデュッセウスの長き旅路

ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』の主人公が、英雄オデュッセウスです。

トロイの木馬の発案者で、戦争を勝利に導きました。

人間の英雄であり、腕っぷしよりも知恵によって試練を乗り越えるタイプです。

そしてトロイア戦争からの帰還の途中に、嵐にあって流されます。

そこから数々の試練を乗り越えていくことになり、その冒険譚が『オデュッセイア』で語られています。

人喰い巨人、怪物セイレーン、怪物スキュラなどとの遭遇、

神々の妨害による幾度もの遭難、

そうした数々の試練に遭い、故郷に辿り着いたのは、トロイアを出てから10年目のことでした。

『ギリシア神話の教科書』

まとめ

ギリシア神話の様々なエピソードを紹介しました。

その物語はとても魅力的で、いつの時代においても語り継がれてきました。

現代においても色褪せないのは、これらが語っているのは、人間の普遍的な精神性だからです。

だからこそ神話の物語は、生き生きとしたメッセージをもたらすのです。

それは、様々な形の人間讃歌だと言えるでしょう。