人類最古の文明のひとつとされるメソポタミア。
その歴史の中でつくられた、様々な芸術作品を紹介したいと思います。
それらは西洋美術の源流とも言えるものです。
また歴史背景や文化も合わせて、わかりやすく解説してあります。
現代との意外なつながりがわかって、ハッとすると思いますよ。
僕は大学で西洋史を専攻していました。西洋の歴史や文化なら任せてください。
西アジアのティグリス川、ユーフラテス川の流域で発展したのが古代メソポタミア文明です。
現在の地理で言うと、イラン、イラク、シリアにまたがる地域です。
今からおよそ5000年ほど前に起こった、人類最古の文明と言われています。
紀元前539年にバビロニア帝国が崩壊するまで、実に数千年にも渡り繁栄を誇りました。
またメソポタミア神話という、独自の神話体系を有していました。
その遺構からも、高度な文明社会であったことが分かります。
その中で生み出された芸術作品が、メソポタミア美術です。
メソポタミアとは「二つの川の間の土地」を意味するギリシア語からきています。
いまの現代社会でも使われる7曜制や60進法はメソポタミアで生まれたものです。一週間が7日で一時間が60分なのは、古代文明までその起源を遡るのです。
メソポタミア美術は、基本的に神話を土台としたものです。
古代エジプトと同様に、独自の神話体系が文化的・社会的な基盤となっていました。
礼拝の中心は、ジッグラトという巨大な祭壇です。
崇拝者が天に自分を近づけられる様に、祭壇へと続く大きな階段があります。
メソポタミア人は彼らの神々と直接つながっていると信じ、多くの芸術作品もそのイメージを体現したものです。
彫刻や装飾品、建築のレリーフなどが主な芸術作品でした。
古代メソポタミアでつくられた彫刻作品を見てみましょう。
神話をベースに、様々な作品が生み出されました。
その精巧なつくりは、当時の文化水準の高さをうかがわせます。
彫刻作品では、石灰岩やブロンズ(青銅)が主な原材料となりました。
都市の成立、文字の使用、法律の制定など、国家としての社会システムが既に存在していました。
メソポタミアでは、世界最古の古代文字である楔形文字(くさびがたもじ)が利用されました。今からおよそ5500年ほど前から使われていたとされ、メソポタミア地域において、数千年にも渡り使用されました。粘土板にアシを尖らせた筆で書かれ、それを窯で焼くことで長期記録を可能にしました。
古代メソポタミアでは装飾品も数多くつくられました。
細やかなデザインが施されてあり、金やラピスラズリなど今日でも高価な宝石が使われていました。
シュメール、アッシリア、バビロニアといった王朝が起こり栄えました。
ビールの歴史はとても古く、その最古の記録はなんと古代メソポタミアにあります。シュメール人が残した「モニュマン・ブルー」と呼ばれる粘土板に、楔形文字で当時のビールのつくり方が描かれています。農耕生活が始まり、放置された麦の粥に酵母が入り込み、自然に発酵したのが起源とされています。
古代メソポタミアは、都市が起こった最初の文明社会でした。
大通り、市場、神殿、庭園、港、運河などを有し、都市文化の起こりとして重要です。
都市には多くの宗教地区があり、大きく立派な神殿がたくさんありました。
住宅地は職業ごとにグループ化され、必ず都市の中心には神殿がありました。
道路と運河のネットワークは、灌漑農地とも接続されていました。
バビロニア帝国の首都バビロンは、人口20万人にも達する巨大都市だったと推測されています。
古代メソポタミアの建築は、レンガを主な材料としてつくられました。ジッグラトが最も有名な遺跡です。
バビロニア帝国は、聖書の中でバベルとして登場します。ユダヤ教やキリスト教の成立に大きく影響しています。
『エヴァンゲリオン』や『Fate』シリーズなど、人気アニメ作品においても、バビロニア帝国に関連する人物や言葉がよく用いられていますよ。
『ギルガメシュ叙事詩』は、古代メソポタミアの伝説的な王ギルガメッシュを巡る物語です。人間を主人公に描いたものとしては、最も古い文学作品とされます。『イリアス』『オデュッセイア』『アーサー王物語』などと並ぶ、歴史的に重要な物語です。
古代メソポタミア美術を紹介しました。
メソポタミアは世界最古の文明であり、西洋文明の起源ともいえるものです。
その長大な歴史の中で、様々な芸術作品がつくられました。
それらはメソポタミアの神話をベースにつくられ、当時の生活や文化を今に伝えています。