ラグナロクとは一体何か?
それは、北欧神話を語る上で欠かせないものです。
現代においても、様々な作品でモチーフにされています。
恐らく、誰もが聞いたことがあると思います。
ここでは、そんな北欧神話におけるラグナロクを、基本からわかりやすく解説しました。
北欧神話の最終戦争を知ってみましょう。
僕は大学で西洋史を専攻していました。西洋の歴史や文化なら任せてください。
北欧神話とは、スカンディナビア半島、アイスランド、デンマーク、ドイツなどに広がっていた、ゲルマン人たちに伝わる神話体系です。
世界の創造から滅亡までを物語る、神々と英雄の伝説です。
そして北欧神話は、様々な歌や詩、散文の形で後世に残されました。
北欧神話の主な原典とされるのが『エッダ』という写本です。13世紀のアイスランドで編纂されたこの文献は、北方ゲルマンが語り継いできた伝説を、詩の形でまとめ上げたものです。「古エッダ(詩のエッダ)」と「スノッリのエッダ」の2種類があります。古ノルド語で書かれました。
北欧神話における終末の日、それがラグナロクです。
これは、神々と巨人族との最終戦争でもあります。
この終末思想は、北欧神話の大きな特徴のひとつです。
エッダによれば、まず恐ろしい冬が始まります。
夏は訪れず厳しい冬が3度続き、多くの生き物が死に絶えます。
大地と山が震え、木々は根こそぎ倒れ、山々は崩れます。
そして太陽と月が怪物に飲み込まれ、星々は天から消え去りました。
またあらゆる封印が解き放たれます。
フェンリルは拘束を断ち切り、ロキは、ヘルヘイムの死者の軍団を率いて攻め入りました。
大蛇ヨルムンガンドは、大陸に大津波を巻き起こします。
炎の巨人スルトは、ムスペルヘイムの軍団を率いて進軍してきます。
アースガルズの虹の橋ビフレストは、彼らの進軍に耐えられず崩れ去りました。
アースガルズの番人ヘイムダルは、終末の到来を察知し、角笛ギャラルホルンを吹き鳴らします。
これにより、アースガルズの神々と戦士たち(エインヘリアル)は、甲冑に身を固め、戦へと出陣します。
そして神々と巨人族の両軍は、ヴィーグリーズの野で激突するのでした。
オーディンは巨浪フェンリルと対峙するものの、敗北して飲み込まれました。
その直後、オーディンの息子ヴィーザルが、フェンリルの顎を踏んで引き裂き、剣により討ち取ります。
雷神トールは宿敵ヨルムンガンドと戦い、ミョルニルを3度投げ付けてこれを倒します。
しかしその毒を喰らい、自らも倒れました。
軍神テュールは冥府の番犬ガルムと戦い、相打ちとなって果てます。
またロキとヘイムダルも相打ちとなりました。
豊穣神フレイは、炎の巨人スルトと戦うも敗れ去ります。
そしてスルトの炎は、全世界を焼き尽くすのでした。
この戦争によって、神々も人間も、あらゆる生命が死に絶え、世界は一旦滅んでしまいます。
しかし完全なる終焉ではなく、新たなる時代が幕を開けます。
海に沈んだ大地が再浮上し、新しい太陽が生まれました。
また唯一焼け残ったホッドミーミルの森の中に、2人の人間が生き残っていました。
さらに冥府から復活したバルドル、ラグナロクを生き抜いたヴィーザルらが、新たな時代の神となります。
彼らはかつてアースガルズのあった場所に住まい、過去に思いを馳せ懐かしむのでした。
北欧神話におけるラグナロクを解説しました。
それは世界の終末の日であり、神々と巨人族の最終戦争でもあります。
北方の厳しい自然環境に、育まれたものだと伺わせます。
そしてその魅力的な世界観や物語は、現代においても様々な文化に影響を与えています。