オリュンポス十二神は、ギリシア神話における最高位の神々です。
ギリシア神話を語る上で、彼らの持つ武器や装備はとても重要な存在です。
その性格を特徴づけ、またストーリーの展開にも大きく影響を及ぼします。
このオリュンポス十二神の武器や装備を、素晴らしい絵画とともに解説していきたいと思います。
楽しみながら学んでみてください。
またギリシア神話を学ぶことは、西洋文化への理解も深まるのでおすすめですよ。
僕は大学で西洋史を専攻していました。西洋の歴史や文化なら任せてください。
オリュンポス山頂の宮殿に住まうと伝えられる神々がオリュンポス十二神です。
ギリシア神話における最高位の神々で、現実世界において祀られ信仰の対象となっているのも、主にこのオリュンポス十二神です。
主神ゼウスをはじめとする男女6人ずつで構成され、ギリシア神話において主要な役割を担っています。
ギリシア神話の最高神であるゼウスは、雷を武器としています。
この雷は「ケラウノス」という名前で、一つ目の巨人サイクロプスがゼウスのためにつくりました。
その威力は圧倒的で、あらゆるものを一瞬で溶解させ、その気になれば全宇宙を破壊できます。
ギリシア神話に登場する武器の中で間違いなく最強です。
まさに主神ゼウスにふさわしい、強さと派手さを備えた武器といえるでしょう。
神々の大戦争ティタノマキアとギガントマキア、最大最強の怪物テュポーンとの戦い、
それらの戦いにおいてゼウスはケラウノスを使い、圧倒的な強さを発揮しました。
ティタノマキアとギガントマキアは、オリュンポス十二神と巨人たちとの争いです。
ヘラはゼウスの妻で、最も位の高い女神です。また婚姻を司り女性の守護神です。
気が強く嫉妬深いとされ、自分の気に入らない者には容赦なく罰を与えました。
特にこれといった武具は持っていませんが、その権威を示す王笏をよく携えています。
天の川は、ヘラの飛び散った母乳からできたとされています。
戦いと知恵を司る女神であるアテナは、神聖な防具「アイギス」を身に付けています。
ヘパイストスがつくった聖なる防具で、あらゆる邪悪や災いを払う力があるとされています。
アテナはこれに、英雄ペルセウスが討ち取ったメデューサの首をはめ込みます。
メデューサの持つ相手を石化させる能力によって、アイギスをより優れた防具にするためでした。
アイギスは胸当て、肩当て、盾といった防具であらわされます。
ちなみにアイギスは、イージス艦の由来になりました。
古代ギリシアの栄えた地中海地域は、暑く乾燥した気候です。果樹栽培に適しており、古代からオリーブやワインが主要な生産物でした。特にオリーブは交易品として重要で、ギリシアの繁栄を支えました。またオリーブは、女神アテナから贈られた聖なる木とされています。
予言と芸術、また太陽を司る神であるアポロンは、弓の名手です。
ヘパイストスのつくった、金の弓矢を武器として戦います。
矢には疫病の性質があり、射られたものは即座に息絶えます。
この弓矢で、数々の敵や怪物を葬りました。
ピュトーンという大蛇の怪物を討ち取り、トロイア戦争では敵を次々に射抜きました。
アポロンは竪琴を演奏し、音楽はじめ芸術を司る神でもあります。
美の女神であるアフロディーテは戦いこそしませんが、不思議な力を持つ魔法の宝帯を持っています。
これには人間のみならず、神でさえ操ることができる特殊な力が備わっています。
トロイア戦争において、ヘラもこれをアフロディーテから借りて利用しました。
狩猟と純潔、そして月の女神であるアルテミスも弓の名手です。
アポロンと同様に、ヘパイストスのつくった銀の弓矢を武器としています。
アポロンの矢と同様に疫病の性質があり、射抜いたものを即死させます。
またアポロンとアルテミスは双子です。
アルテミスはアテナと同じく戦う女神です。
ヘパイストスは、炎と鍛治を司る神です。
オリュンポス十二神や英雄たちが使う、数々の武具をつくり出しました。
アテナの防具アイギスや、アポロンとアルテミスの弓矢も、ヘパイストスがつくりました。
ギリシア神話の神々が活躍する上で、重要な役割を担った存在です。
ヘパイストスは、ゼウスとヘラの最初の子であり奇形でした。
テクノロジーの発展した現代においても、なぜ神話が必要とされるのでしょうか?それは神話という価値体系は、人間の芸術や文化と密接に関わるものだからです。いわば神話とは「人の精神を支える基盤」とも言えるものなのです。
伝令の神であるヘルメスは、ひとりでいくつものアイテムを持っています。
ギリシア神話におけるトリックスター的存在で、それらの装備で様々な任務をこなしました。
カドゥケウスは伝令をあらわす杖で、柄に二匹の蛇が巻きついています。
杖の先端に翼がついていることもあります。
特に何か特殊能力があるわけではありません。
ヘルメスだと示す象徴的なシンボルとしての役割を果たしています。
また現代社会においても、カドゥケウスはシンボルとしてよく利用されています。
タラリアはヘルメスが履いている翼の生えたサンダルです。
これにより地上を駆け抜け、また自在に空を飛ぶこともできます。
英雄ペルセウスも、怪物メデューサ退治の際にタラリアを装備しました。
古代ギリシアで使われていた、つば広の日よけ帽がペタソスです。
ヘルメスは常にペタソスをかぶっており、これにも翼が生えている場合が多いです。
特に記述が見当たらないのですが、恐らくこれにもタラリアのような飛行能力があると思われます。
英雄ペルセウスも、有翼のペタソスをかぶった姿でよくあらわされます。
普段は特に武器を所持していないヘルメスですが、巨人アルゴスを倒す際にはアダマスの鎌を使いました。
ヘパイストスがつくった武器で、とても硬いアダマントという物質でできたハルパーです。
ハルパーとは湾曲した形状の、鎌のような剣になります。
ヘルメスはこれを使い、巨人アルゴスの首を切り落としました。
また英雄ペルセウスがメデューサを退治する際にも、このアダマスの鎌を貸し与えました。
その他にもアダマスの鎌は、ギリシア神話の中でたびたび登場します。
海神ポセイドンの象徴である、三叉の槍がトライデントです。
ゼウスの雷と同様に、一つ目の巨人サイクロプスがつくったものです。
圧倒的な力を備えており、大陸を揺るがす地震を起こし、大津波や大嵐を巻き起こすことができます。
山脈を真っ二つに裂き、大陸を海に沈められるような、絶大な威力を誇ります。
ゼウスに次ぐ力を持つ、ポセイドンにふさわしい武器といえます。
神話は心理学とも密接な関係があります。心理学の権威ユングは、人には「集合的無意識」があることに注目しました。誰であれ無意識の深層には、神話的な共通のパターンがあるというものです。ユングはこれを元型(アーキタイプ)と呼びました。
冥界の王ハデスはオリュンポス十二神でこそありませんが、ゼウス、ポセイドンに次ぐ力を持つ神です。
ハデスは二又の槍バイデントを象徴の武器としています。
特に記述はありませんが、相当な威力があることは間違いありません。
また、かぶると姿を消すことできる、隠れ兜を所持しています。
ゼウスの雷と同様に、一つ目の巨人サイクロプスがつくったものです。
これがストーリー展開に欠かせない重要なアイテムです。
ヘルメスや英雄ペルセウスが、この隠れ兜を利用して活躍しました。
一つ目の巨人サイクロプスは、幽閉されていたところをゼウスによって解放されました。
酒の神ディオニュソスも、重要な役割を担う神です。
オリュンポス十二神に加えられる場合もあります。
そのディオニュソスの持つアイテムが、テュルソスの杖です。
ツルや葉っぱで飾られ、先端には松かさがつけられます。
豊穣や繁栄を象徴し、儀礼や祭事における神聖な道具でした。
またディオニュソスやその信者が持つと、恐ろしい力を持つとされます。
哲学者ニーチェは、対概念としての「アポロン的」「ディオニュソス的」という形容方法を生み出しました。
オリーブと並び、古代ギリシアの重要な交易品がワインです。古くからブドウの栽培によるワインの生産が盛んで、古代ギリシア繁栄の要素のひとつとされます。ここから地中海全体に、ワイン文化が広まっていきました。
オリュンポス十二神の持つ武器や装備を紹介しました。
絵画とともに見ていくと、とてもわかりやすいと思います。
そしてギリシア神話の神々の性格や特徴を、より理解できるようになるはずです。