21世紀に入ってから、様々な場面において、AI(人工知能)の技術が広く用いられる様になりました。
そして音楽やアートなど、AIに作品をつくらせることも可能になりました。
しかしそういった場合、それらは芸術作品と呼べるのでしょうか?
また著作権などの権利はどうなるのでしょうか?
わかりやすく解説したいと思います。
AIがつくった作品に対する基本的な考え方
まず著作権に対する世界共通の認識として、
「著作権は人間によってつくられた作品でなければ認められない」
というのが基本的な考え方です。
そのため「AIがつくりだした作品に著作権はない」というのが今のところ一般的な結論です。
海外におけるAIの著作権に関する状況
2022年2月14日、アメリカの著作権局は、AIが生み出した芸術作品に対する著作権取得の申請を却下しています。
https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf
これは「Creativity Machine」と名付けられたAIが生成した、絵画作品に対するものでした。
同局は、「AIが生成した画像には著作権によって保護されるのに必要な基準である『人間の著作権』の要素が含まれていない」と表明しています。
この作品に限らず、著作権保護当局や裁判所は「人間の精神と創造的表現の結びつき」が著作権の重要な要素だとしています。
日本におけるAIの著作権に関する状況
日本においてもAIに関する著作権は、基本的に海外と同じスタンスです。
著作権法においても、著作物とは人間の思想又は感情を表現したものと定められています。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作権法2条の1
AIによる作品に著作権が認められるためには、人の創作的関与が必要である。
というのが、世界的にもほぼ共通した見解になっています。
人間以外によってつくられた作品の著作権に関する判例
野生のサルが写真家のカメラを使って、たまたま自撮りした出来事がありました。
この写真はウィキメディア・コモンズにアップロードされ、その権利を巡って法廷闘争となり、2014年半ばに大きな話題を呼びました。
人間以外による作品に著作権は発生するのか、それが大きな問題となったのです。
アメリカ合衆国著作権局は、人間以外による作品はアメリカにおける著作権の対象とはならないと宣言しました。
そして2016年、アメリカ合衆国連邦裁判所は、サルは画像の著作権を有しないと判決を下しました。
基本的に著作権を有するのは人間だけである、という考え方が司法の場でも確認された形です。
AIの著作権に関する問題点
現状ではAIによる作品に、著作権は認められていません。
しかしながら、AIによる作品と人による作品を判別するのは、困難な場合も多々あります。
つまりAIの所有者が自己申告しない限りは、それがAIがつくったものかどうか分からない訳です。
その場合、誰もが正直に言うでしょうか?
いずれにせよ、AIを用いた作品が増えていくのは間違いありません。
生産性や利便性の向上というメリットもありますが、著作権をはじめとした課題も数多くあると言えます。
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まとめ
AIがつくった作品の著作権に関して、わかりやすく解説しました。
基本的に著作権が認められるのは人間だけです。
そのためAIがつくりだした作品に著作権は発生しません。
しかし現実的には、AIによる作品はこれから一層増えていくと予想されます。
著作権をはじめ、AIによる作品をどう扱っていくか、これからの大きな課題だと言えるでしょう。
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