壮大なる叙事詩!ギリシア神話における世界の始まりと神々の戦い!

ギリシア神話を学んでみましょう。

この雄大な物語は、古代から現代に至るまで、多くの人々を魅了し続けています。

連綿と語り継がれてきたのは、それだけの価値があるからです。

また芸術や文学の背後にあるものを教えてくれます。

ギリシア神話のエピソードは、いつの時代も語り継がれてきた。

ここではギリシア神話の基本やあらすじかを、わかりやすく解説しました。

世界の始まりから神々の戦いまでの物語です。

ギリシア神話のエピソードが持つ、魅力や面白さを感じてみてください。

僕は大学で西洋史を専攻していました。西洋の歴史や文化なら任せてください。

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ギリシア神話とは何か?

ギリシア神話は、古代ギリシア地方において信仰された神話体系です。

非常に多くの神々が登場し、様々な物語をつくり上げています。

また神々だけでなく、人間の英雄も登場して活躍します。

ギリシア神話の特徴
  • とても多くの神々が登場する
  • 神々は個性豊かでとても人間味がある
  • 教典や教義が無い

また基本的に自然崇拝の多神教です。

登場する神々はみな個性的で、その性格も非常に人間味を感じさせます。

そしてキリスト教に次いで、西洋世界の文化的・精神的な基盤となっています。

ギリシア神話の誕生

ギリシア神話は、紀元前20〜15世紀頃のクレタ文明において始まったとされます。

そして続くミケーネ文明へと引き継がれました。

ギリシア神話には経典や教義がなく、教会や司祭も存在しません。

口承で語り継がれ、古代ギリシア民族が様々な文学作品として記述しました。

エジプト、ギリシア、ローマ。地中海世界は西洋文明の源流となりました。

ギリシア神話の原典

ホメロス
ヘシオドス

ギリシア神話の原典を生み出したのが、2大詩人と称されるホメロスヘシオドスです。

ホメロスは『イリアス』と『オデュッセイア』、

ヘシオドスは『神統記』と『労働と日々』を残しました。

また続く古代ローマ時代にまとめられた、『ビブリオテーケー』と『変身物語』も重要です。

これらの叙事詩によって、ギリシア神話は体系的にまとめられたのです。

演劇の誕生と悲劇詩人

紀元前6世紀頃から、ギリシア地方では劇場が建てられ、演劇が盛んになります。

中でもギリシア神話をテーマとした、悲劇が人気を集めました。

3大悲劇詩人と言われる、アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの作品が有名です。

これらは抒情詩と呼ばれ、多くの神話を現在知られている形へと整えました。

古代ギリシアでは、スポーツ競技も生まれました。

オリーブと古代ギリシア

古代ギリシアの栄えた地中海地域は、暑く乾燥した気候です。果樹栽培に適しており、古代からオリーブやワインが主要な生産物でした。特にオリーブは交易品として重要で、ギリシアの繁栄を支えました。またオリーブは、女神アテナから贈られた聖なる木とされています。

ギリシア神話の物語:世界の始まりと神々の戦い

それでは、ギリシア神話の壮大なストーリーを見ていきましょう。

神話とは民族の記憶であり、人間の心の内に潜んでいる精神的な基盤とも言えます。

太古の昔から途切れることなく、連綿と受け継がれてきました。

天地創造

世界の始まりに存在したのは巨大な混沌、カオスでした。

そこに大地の女神ガイアと、奈落であるタルタロスが生まれ、愛の神エロスも生み出されます。

カオスから暗黒と夜が誕生し、さらに光と昼が誕生しました。

ガイアは単独で、天空の神ウラノスを生み出します。また山々と海も生み出しました。

こうして天と地、陸と海が生まれ世界ができあがりました。

古代の神話はどれも自然崇拝でした。

大地の女神ガイアと天空の神ウラノス

『ウラノスと踊る星々』

大地の女神であるガイアは、天空の神であるウラノスと交わり、神々を生み出しました。

これが、ティタン神族と呼ばれる巨人の神々です。

そしてウラノスは、全宇宙を統べた最初の王となりました。

ガイアとウラノスの間には、さらに巨人たちが生まれます。

次に生まれたのが、キュクロプスという一つ目の巨人と、

ヘカトンケイルという、頭と腕がいくつもある異形の巨人たちでした。

ウラノスはその異形から、これらの巨人を忌み嫌い、タルタロスへと幽閉しました。

ガイアは、この非情な振る舞いに憤りを覚えます。

ウラノスは天王星も意味し、元素のウランの由来でもあります。

『ギリシア神話の幻獣たち

クロノスによる王座の奪取

『クロノスに去勢されるウラノス』

ウラノスを陥れるため、ガイアは我が子であるティタン神族たちに協力させます。

鋼鉄の大鎌をつくり、ウラノスから力を奪う方法を教えます。

そしてこれを実行したのがクロノスでした。

クロノスは、父であるウラノスの性器を大鎌で切り取り、海へと放り投げました。

かくして不能となったウラノスに代わり、クロノスが全宇宙の王となります。

クロノスはじめティタン神族たちによる統治のはじまりでした。

ちなみに、切り落とされたウラノスの男性器にまとわりついた泡の中から、女神アフロディーテが生まれたとされます。

クロノスの統治とゼウスの誕生

『クロノスとその子ども』

クロノスは王となり、女神レアを妃に迎えます。

世界に君臨したものの、クロノスは忌まわしい予言に懸念を抱いていました。

それはクロノスもウラノスと同様に、我が子によって王位を奪われるというものです。

この予言の成就を恐れて、クロノスは生まれてきた我が子を次々と飲み込みました。

これにレアは心を痛めていきます。

そしてゼウスを生むとクレタ島に行き、見つからぬ様に島の洞窟に隠しました。

クロノスは英語ではサターンで、また土星も意味します。

クレタ島

地中海に浮かぶ、ギリシア最大の島がクレタ島です。古代ミケーネ文明が栄えた場所で、ギリシア神話発祥の地とも考えられます。たびたび神話の中でも登場し、主神ゼウスが生まれ育った場所でもあります。また現在では、観光地としても人気があります。

ゼウスはじめオリュンポスの神々の登場

クレタ島で成長したゼウスは、クロノスのもとへ行き飲み込まれた兄弟たちを助け出します。

クロノスに薬を飲ませて、次々と兄弟たちを吐き出させたのです。

そしてオリュンポス山に神々が集い、ゼウスを中心として結束します。

これがオリュンポス十二神であり、ギリシア神話の中心となる神々です。

オリュンポス十二神は、オリュンポス山に住まうとされる神々です。

ギリシア神話における最高位の神々になります。

主神ゼウスをはじめ、男女六人ずつで構成されます。

十二星座や干支など、暦のサイクルでもある十二という数は、宇宙の秩序の象徴でもあります。

ティタノマキア

ゼウスを中心としたオリュンポスの神々は、クロノスはじめティタン神族たちとの全面対決に突入していきます。

これが神々の大戦争ティタノマキアです。

世界の覇権をかけたこの争いは、10年以上に及ぶ壮絶なものとなりました。

ゼウスはタルタロスに幽閉されている、キュクロプス、ヘカトンケイルらを解放して仲間につけます。

キュクロプスたちは、助けられた感謝として武具を差し出します。

またヘカトンケイルたちは、巨大な岩石を休みなく投げ続けてティタン神族を攻撃しました。

そしてゼウスは、容赦なく雷を投げつけます。

その圧倒的な威力によって、天界は崩れ落ち、見渡す限りの天地は逆転したとされます。

これらの猛攻によりティタン神族は敗れ去り、タルタロスへと封印されたのでした。

かくしてオリュンポスの神々が、世界を統治することとなりました。

ティタンは、英語で巨人を意味するタイタンの語源です。また客船タイタニックや、元素のチタンの由来でもあります。

ギガントマキア

我が子であるティタン神族を封印されたガイアは怒ります。

そしてギガースという巨人たちを生み出すと、ゼウスたちに戦いを仕掛けます。

これが二度目の神々の大戦争、ギガントマキアです。

ギガースたちは、山脈や島々など、ありとあらゆる地形を引き裂きながら進軍し、神々を攻撃しました。

壮絶な戦いが始まり、オリュンポスの神々は苦戦を強いられます。

ギガースたちは人間によってのみ倒される、という予言を受けていたからです。

そこでゼウスは人間の女性との間に、半神半人の子どもをもうけます。

これが英雄ヘラクレスです。

ヘラクレスの参戦により、オリュンポスの神々は反撃に転じます。

オリュンポス十二神を中心にギガースたちを追い詰め、ヘラクレスがとどめを刺しました。

そして遂に、ギガースたちを打ち負かしましたのでした。

ギガースの複数形ギガンテスは、英語で巨大を意味する「ジャイアント」の語源になりました。

最強の怪物テュポーンとの戦い

なおもガイアは怒りが収まらず、オリュンポスの神々に最後の戦いを挑みます。

タルタロスと交わると、いまだかつてない怪物を生み出しました。

それが、ギリシア神話における最大最強の怪物テュポーンです。

頭は星々に届くと言われるほど、とてつもない巨体を持っています。

脚は巨大な毒蛇になっていて、口からは凄まじい火炎を吐きました。

ゼウスに匹敵する絶大な力を持ち、唯一ゼウスを負かしたことのある存在でもあります。

それ故に、テュポーンを倒せるのもゼウスだけでした。

そして天地を揺るがす死闘が始まります。

ゼウスの雷とテューポーンの火炎、その両者が発する熱で大地は燃え盛り、天と海は煮えたぎります。

テュポーンはゼウスを捕らえ、手足の腱を切ると、洞窟へと閉じ込めてしまいました。

そこで伝令神ヘルメスが出向き、ゼウスを救出して治療します。

力を取り戻したゼウスは、再びテューポーンと壮絶な戦いを繰り広げます。

そして死闘の果てにテュポーンは敗れ、シチリア島のエトナ山に封印されました。

エトナ山の火山が活発なのは、テュポーンが暴れているからだと言われることがあります。

ワインと古代ギリシア

オリーブと並び、古代ギリシアの重要な交易品がワインです。古くからブドウの栽培によるワインの生産が盛んで、古代ギリシア繁栄の要素のひとつとされます。ここから地中海全体に、ワイン文化が広まっていきました。

『ギリシア神話の教科書』

まとめ

ギリシア神話を、その基本から解説しました。

その物語はとても魅力的で、知れば知るほど面白いです。

非常に多くの神々がいて、個性豊かな表情を持ち合わせます。

また自然への尊敬と、畏怖の念も感じさせます。

そうしたギリシア神話の物語は、生き生きとしたメッセージをもたらします。

それは様々な形の生命讃歌であり、人間讃歌だと言えるでしょう。

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