北欧神話とは何か?その基本をわかりやすく解説!

北欧神話とは一体何でしょうか?

聖書やギリシア神話に次いで、西洋世界における文化的・精神的な基盤となっています。

それは、まさにファンタジーの起源とも言うべきものです。

ここではそんな北欧神話を、わかりやすく解説しました。

北欧神話をその基本から紹介!

僕はアーティストでブロガーで作家をしている、日下晃と申します。

もともと僕は大学では西洋史専攻でした。そのため西洋の歴史や文化を、わかりやすく紹介するのが得意です。

また神話も専門で、このブログでも人気コンテンツとなっています。

中身のクオリティにおいても、どこにも負けていないと自負しています。

そんな訳で、北欧神話を多くの人に楽しんでもらえればと考えています。

それでは、はるか遠い昔に北欧の地で培われた、独特の世界観を感じてみてください。

西洋の歴史や文化なら任せてください。

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北欧神話とは何か?

北欧神話とは、スカンディナビア半島、アイスランド、デンマーク、ドイツなどに広がっていた、ゲルマン人たちに伝わる神話体系です。

北欧神話の特徴
  • 北方のゲルマン民族の神話である
  • 独特の世界観・宇宙観を持つ
  • 荒々しくも勇猛な神々と終末思想

世界の創造から滅亡までを物語る、神々と英雄の伝説です。

そして北欧神話は、様々な歌や詩、散文の形で後世に残されました。

『図解 北欧神話 F‐Files 』

北方のゲルマン民族の神話

まず北欧神話を理解する上で重要なのが、ゲルマン人です。

古代において、ゲルマニアと呼ばれる北部の地域に住まい、ローマ帝国からも独立を保っていました。

カエサルの『ガリア戦記』にも記述されています。

西ローマ帝国の崩壊や、ヴァイキングの侵攻など、その後の西欧世界の形成に大きく影響しました。

古くからの信仰を残していた北欧世界

中世以降、ヨーロッパ諸国は次々とキリスト教化されていきました。

これに対して、アイスランドやスカンディナビア半島のゲルマン人たちは、10世紀頃までキリスト教化されず、古くからの信仰を残していました。

その北方ゲルマン人たちの、風習や精神が集約された物語が、北欧神話なのです。

ヴァイキング

9〜12世紀頃にヨーロッパ各地に侵入した、北方ゲルマン人の総称がヴァイキングである。優れた航海術を持ち、各地で略奪を行う一方で、商業活動も盛んに行なっていた。そして各地に植民すると、ノルマン系の王朝が次々と建国された。

独特の世界観・宇宙観

北欧神話は、独特の世界観・宇宙観を持ちます。

まず9つの世界から成り立っており、これらの世界は、世界樹ユグドラシルによって繋がっています。

神々の住まうアースガルズを最上位として、人間の住まうミズガルズ、極寒の氷の世界であるニヴルヘイムなどが存在します。

世界樹ユグドラシル

北欧神話において、世界はひとつの大きな樹であると考えられています。

世界そのものを体現する、その途方もなく大きな樹を中心として、9つの世界が存在しています。

そしてこの巨大な樹が、世界樹ユグドラシルです。

エッダによると、ユグドラシルは巨大なトネリコの樹であるとされます。

3つの根はそれぞれ、ウルズの泉、フヴェルゲルミル、ミーミルの泉という、3つの泉に至ります。

『エッダ』

北欧神話の主な原典とされるのが『エッダ』という写本である。13世紀のアイスランドで編纂されたこの文献は、北方ゲルマンが語り継いできた伝説を、詩の形でまとめ上げた。「古エッダ(詩のエッダ)」と「スノッリのエッダ」の2種類がある。古ノルド語で書かれた。

北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

北欧神話における9つの世界

それでは、北欧神話の世界を形づくる、9つの世界を紹介したいと思います。

この9つの世界には、様々な種族が住んでいます。

これらの世界を覆う天の空は、始祖の巨人ユミルの頭蓋骨でつくられており、複数の層を成しています。

その天空の上を、太陽と月を運ぶ馬車が、狼に追われながら走っています。また世界の東西南北の端を、4人のドワーフが支えています。

さらに天の北には鷲の姿をした巨人フレスヴェルグがいて、その羽ばたきが風となって世界を巡ります。

この様に北欧神話の世界観は、とてもユニークでドラマチックなものなのです。

アースガルズ

アース神族たちの住まう国がアースガルズです。

アース神族とは、主神オーディンを長とする神々で、北欧神話における中心的な存在です。

この神々の国は、人間たちの住む世界ミズガルズと、虹の橋ビフレストによって結ばれています。

ヴァナヘイム

ヴァン神族たちが住まう国がヴァナヘイムです。

ヴァン神族とは、豊穣と平和をつかさどる神々です。

かつてアース神族とは対立し、戦争を行っていました。

その後に和解し、両者は同盟関係にあると考えられます。

その名は「光り輝く者」を意味します。

ミズガルズ

人間たちの住まう国がミズガルズです。

天上界のアースガルズ、地下世界のニヴルヘイムやヘルヘイム、

その中間に位置しています。

アールヴヘイム

光の妖精たちの住まう国です。

この光の妖精とは、エルフのことです。

北欧神話ではアールヴと呼ばれ、アールヴヘイムに住んでいます。

またヴァン神族のフレイが、エルフたちの長とされます。

ニザヴェリール

ドワーフたちの住まう国が、ニザヴェリールです。

スヴァルトアールヴヘイムと言われることもあります。

また北欧神話では、ドワーフはドヴェルグと呼ばれます。

ヨトゥンヘイム

ヨトゥンと呼ばれる巨人族の住まう国が、ヨトゥンヘイムです。

巨人たちは、神々に匹敵する強大な力を持ちます。

また神々とは敵対関係にあり、衝突を繰り返します。

ニヴルヘイム

極寒の地にある氷の国がニヴルヘイムです。

地下世界にあるとされ、天地創造以前から存在しています。

ムスペルヘイムとは対をなします。

ヘルヘイム

死者たちの住まう冥府の世界がヘルヘイムです。

地下世界にあるとされます。

女巨人のヘルが治めています。

ムスペルヘイム

世界の果てにある炎の国がムスペルヘイムです。

スルトという炎の巨人が、その入り口を守っています。

天地創造以前から存在しており、ニヴルヘイムとは対をなします。

『サガ』

エッダと共に、北欧神話の原典とされるのが『サガ』である。12世紀から14世紀頃のアイスランドで発展した、散文形式の長編文学である。古ノルド語で書かれた。エッダが神話を主な題材とするのに対して、『サガ』は歴史的な出来事を主な題材とした。

勇猛な神々と終末思想:北欧神話の物語

北欧神話の神々は、勇ましく猛々しいのが特徴のひとつです。

主神オーディンをはじめ、雷神トール、戦神テュールなど戦いにまつわる神が多いです。

ゲルマン人の戦士階級を中心として、信奉されてきた神話であることが伺われます。

その基本的なあらすじを、わかりやすく解説していきます。

世界の始まり

世界の始まりには、氷と炎しか存在しませんでした。

すなわちニヴルヘイムの氷の世界と、ムスペルヘイムの炎の世界です。

その両者が混じってできた霜の中から、

すべての始まりとなった原初の巨人、ユミルが生み出されました。

このとき、アウズンブラという牝牛も一緒に生まれます。

ユミルは単独で、ヨトゥンの巨人たちを生み出していきました。

またアウズンブラからは、ブーリという最初の神が生まれます。

ユミルは『進撃の巨人』でもお馴染みの始祖の巨人ですね。また仏教の閻魔(えんま)、インド神話のヤマと同じ起源を持ちます。

ユミルの殺害と天地創造

神と巨人が交わった子孫から、オーディン、ヴィリ、ヴェーという3人の神が生まれました。

彼らはユミルを殺害し、その体を利用して世界を創造しました。

体で大地をつくり、血液で海や川を、骨や歯から岩や石を、

脳で雲を、そして頭蓋骨で天空をつくり出しました。

そこにムスペルヘイムの火花から、太陽と月、星々をつくって置きました。

人間と世界の創造

神々は海辺の流木から、アスクとエンブラという人間の男女を生み出しました。

そして神々は小人や妖精たちもつくりました。

そして人間の世界であるミズガルズ、巨人族の世界であるヨトゥンヘイム、神々の世界であるアースガルズをつくりました。

アース神族とヴァン神族の戦争

オーディンを長とするアース神族と、もう一つの神々であるヴァン神族との間で、あるとき抗争が勃発しました。

長引く戦いに疲れた神々は、人質交換によって、この戦争を終結させます。

それ以降の両者は、同盟関係にあったと考えられます。

オーディンの旅

北欧神話における最高神がオーディンです。

アース神族の長にして、戦争と死を司る神であり、魔術と知識に長けた神々の父です。

オーディンは知識に貪欲で、しばしば世界を旅して回っています。

知識を得るためにミーミルの泉を飲みますが、その代償として片目を失いました。

またルーン文字の秘密を得るために、自らに槍を突き刺し、世界樹ユグドラシルに9日間首を吊りました。

それからも各地を放浪しては、様々な知識や魔法の品を得るのでした。

ルーン文字

北方ゲルマンが使用していた、独自の文字体系がルーン文字である。北欧神話においては、オーディンが見出した呪力を持つ特別な文字とされる。愛のルーン、勝利のルーン、知恵のルーンなどがある。この文字を刻むことで、様々な効果を発揮するとされた。

『ルーン文字:古代ヨーロッパの魔術文字』

雷神トールと巨人たちの戦い

北欧神話において、最も強いとされるのが雷神トールです。

オーディンの息子であり、雷を司る神です。

ミョルニルというハンマーを武器として戦い、ほとんどの敵を一撃のもとに葬り去る、圧倒的な強さを持っていました。

神々や人間のために、幾度も巨人たちとの戦いを繰り広げました。

バルドルの死

輝ける光の神がバルドルです。

オーディンと女神フリッグの息子で、神々の中でもっとも賢明で美しく、万人に愛されたとされます。

それに嫉妬したロキの謀略によって、命を落としました。

神々は冥界からバルドルを連れ戻そうと試みますが、これもロキにより阻まれました。

ロキの拘束

ロキは混沌をもたらす悪戯好きの神です。

純粋な巨人族ですが、オーディンと義兄弟の契約を交わしており、アースガルズに神として住んでいます。

魔術に長けていて、様々な姿に自在に変身できます。

バルドルの殺害後は、神々とは敵対することが多くなっていきました。

そして神々はロキを捕らえると、地下に幽閉して拘束します。

そこで顔に蛇の毒が滴り落ちるという、拷問を与えたのでした。

中世ヨーロッパの教科書

最終戦争ラグナロク

北欧神話における終末の日、それがラグナロクです。

これは、神々と巨人族との最終戦争でもあります。

まず不吉な前兆から恐ろしい冬が始まり、多くの生き物が死に絶えます。

そして巨人族や死者の軍団が、アースガルズへと一斉に攻め入ってきます。

神々はこれを迎え撃ち、両軍はヴィーグリーズの野で激突するのでした。

この戦争によって、神々も人間も、あらゆる生命が死に絶え、世界は炎に包まれて一旦滅んでしまいます。

しかし完全なる終焉ではなく、新たなる時代が幕を開けます。

世界がまた再生されていき、ラグナロクを生き抜いた者たちが見つかります。

そして生き残った神々と人間たちにより、また新しい世界が始まっていくのでした。

さらに詳しく学びたい方は、僕の著作を読んで頂ければと思います。北欧神話の参考書として、これまでに無いクオリティであると自負しています。

『シリーズ魅力溢れる北欧神話の世界』

まとめ

北欧神話の基本をわかりやすく解説しました。

それは独特の世界観を持つ、北方ゲルマン民族の神話体系です。

ゲルマン人たちの、風習や精神が集約された物語であり、

北方の厳しい自然環境に、育まれたものだと伺わせます。

そしてその魅力的な世界観や物語は、現代においても様々な文化に影響を与えています。

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