ゴシックという言葉を最初に用いたのは、ルネサンス期の芸術家ジョルジョ・ヴァザーリであった。またゴシックとは「ゴート人の」という意味である。
これは、ルネサンス以前の中世の芸術様式を、粗野で野蛮といった侮蔑的な意味合いを込めてそう呼んだものとされる。
19世紀において再発見されるまで、中世は暗黒時代であったと考えられており、ゴシックは奇怪さや不器用さを表わす言葉として受け取られていたのである。
そして近代以降において、中世の価値が再度見直されると、ゴシックは大衆文化の中において広く使われていく様になる。
19世紀のイギリスにおいて「ゴシックホラー」が流行し、20世紀後半からは「ゴス文化」が広く浸透していった。
文化作品やファッションにおいて、幻想的・怪奇的・頽廃的な雰囲気を持つ、現代では有名なサブカルチャーである。
そこでゴシック的とみなされているものは、闇、死、廃墟、神秘、異端、色で言えば黒といったイメージである。ホラーのジャンルにおいては、ほぼ定番とも言えるだろう。
そのような現在流布しているイメージは、歴史上ゴシックがもともと意味していたものとは必ずしも合致しない。総じてゴシックという言葉は、多義的で曖昧であると言える。
またゴス文化は、日本において独自の発展を見せることになる。ファッションにおけるゴシック&ロリータや、音楽におけるヴィジュアル系、また様々なオタク系文化との融合など、幅広い広がりと影響を与えている。