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AI悩み相談のリスク|知っておきたい注意点

ChatGPTをはじめとする生成AIは、悩み相談の相手として多くの人に利用されるようになりました。実際に、気軽に相談できたり、客観的な意見をもらえたりと、多くのメリットがあります。

しかし、その一方でAIを過信してしまうと思わぬ落とし穴にはまることもあります。AIは便利な相談相手ですが、万能ではありません。

この記事では、AIに悩み相談をするときに知っておきたい代表的なリスクと、上手に付き合うためのポイントを解説します。

AI悩み相談の教科書: なぜ人はChatGPTに悩みを打ち明けるのか?

ときどき自信満々に間違える

AIは非常に優秀です。

複雑な質問にも答えられますし、文章の作成や要約、情報整理も得意です。そのため、まるで何でも知っている専門家のようです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、AIは時々間違えるということです。しかも、その間違い方が少々厄介です。人間であれば、自信がないときには、

「たぶん」

「よくわからないけれど」

「確認した方がいいと思う」

といった前置きをすることがあります。ところが生成AIは、誤った内容であっても非常に自然で説得力のある文章を作ることがあります。

あたかも正しい情報であるかのように説明するため、一見すると間違いだと気づきにくいのです。

生成AIの世界では、このような現象を「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。

例えば存在しない研究論文を紹介したり、実在しない法律や制度について説明したり、事実とは異なる情報をもっともらしく語ったりすることがあります。

僕自身も、AIとの対話の中で何度か誤った情報に遭遇したことがあります。

AIは嘘をつこうとしているわけではありません。膨大な文章データから、次に続く可能性の高い言葉を予測して文章を生成しているだけです。

そのため、もっともらしい文章を作ることは得意ですが、その内容が必ずしも事実であるとは限りません。

そして特に注意したいのが、悩み相談との組み合わせなんです。

例えば、

「転職した方がいいでしょうか」

「この契約内容は問題ないでしょうか」

「この症状は病院へ行くべきでしょうか」

といった重要な相談に対して、AIが自信ありげに回答したとしても、それが正しいとは限りません。

人生に大きな影響を与える判断を、AIの回答だけで決めてしまうのは危険です。もっとも、これはAIが使えないという意味ではありません。

僕自身、困ったときにはよくAIに相談します。仕事のことや法律や税金のこと、身体のことなどもよく聞きます。

AIは情報を整理したり、考えるための材料を提供したりすることには非常に役立ちます。

問題なのは、AIを「最適な答えを教えてくれる存在」と考えてしまうことです。

AIは便利で万能なツールですが、時には間違えることもあります。常にその前提を忘れずに利用することが大切です。

悩み相談においても、AIの回答はあくまで参考意見の一つとして受け止め、最終的な判断は自分自身で行う必要があります。

健康相談は特に注意

AIへの相談で特に注意したいのが、健康や身体に関する悩みです。僕自身も体調や健康についてAIに相談することがよくあります。

生成AIが登場する以前は、症状が気になるとインターネットで検索し、多くのサイトを読み比べながら情報を集めていました。しかし最近では、まずAIに質問するという人も増えています。

実際、ある調査では、生成AIに悩み相談をしている人のうち、半数以上が健康について相談していることが報告されています。

確かにAIは便利です。症状や検査結果について質問すると、考えられる原因や一般的な対処法を分かりやすく説明してくれます。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。もうおわかりの通り、AIは時として、もっともらしい誤情報を自信満々に回答することがあるからです。

NHKが専門医の協力を得て行った調査では、がんに関する検索結果のAI回答を分析したところ、およそ4割に「問題あり」または「要注意」の内容が含まれていました。

例えば、あるがん患者がAIに「がん患者が食べてはいけないものを教えてください」と質問したところ、「生魚や生野菜は避けるべき」という回答が表示されました。

しかし医師によれば、その情報は古い知見に基づくもので、現在のガイドラインとは異なっていました。もし患者がAIの回答だけを信じていたら、本来必要のない食事制限をしていたかもしれません。

医療情報は一般論だけでは判断できません。同じ病気であっても、

  • 年齢
  • 病状
  • 治療内容
  • 服用中の薬

などによっても適切な対応は変わります。

AIは一般的な情報を提示することはできますが、その人の診察や検査を行うことはできません。だからこそ、健康相談においてAIは「診断する存在」ではなく、「情報整理を手伝う存在」として使うべきでしょう。

AIは次回の診察で医師に聞くべき質問を整理したり、不安な気持ちを落ち着かせたりすることには役立ちます。

しかし、治療方針や薬の選択といった重要な判断は、必ず医師などの専門家と相談する必要があります。

命に関わる問題ほど、AIの回答は参考程度にとどめ、自身の判断だけで対処するのは避けるようにしましょう。

考える力が弱くなる

生成AIを利用する上で、近年特に指摘されるようになっているのが、「考える力」への影響です。

AIは質問をすると瞬時に回答を返してくれます。悩み相談であれば、「どうすればいいでしょうか」と聞くだけで、選択肢やアドバイスを提示してくれます。

もちろん、これは生成AIの大きな魅力です。しかし、その便利さゆえに注意しなければならないこともあります。

それは、自分で考える機会が減ってしまう可能性があることです。かつて何か悩みがあったとき、人は本を読んだり、インターネットで調べたり、友人に相談したりしながら答えを探していました。

その過程では、さまざまな情報に触れ、自分なりに考え、判断する必要がありました。しかしAIは、そのプロセスを大幅に短縮してくれます。質問を投げかけるだけで、整理された答えが返ってくるからです。

そのため、気がつかないうちに「まず自分で考える」のではなく、「まずAIに聞く」という習慣が身についていきます。

実際、内閣府の調査では、生成AIの利用による悪影響として「AIに頼りすぎて、自分で考える時間が減った」と回答した人が全体で23.2%に上りました。

特に若年層でその傾向が強く、10代女性では43.7%、10代男性では39.8%がそのように感じていました。

これは客観的に思考力が低下したことを示すものではありません。しかし少なくとも、多くの利用者が「自分で考える時間が減った」と実感していることは注目に値するでしょう。

もっとも、ここで誤解してはいけないのは、「AIを使うと頭が悪くなる」と言いたいわけではないということです。AIは非常に便利な技術であり、その有用性は議論を待ちません。

しかしながら、その使い方によって得られるものが大きく変わっていくのです。それでは、どのように利用していけばいいのか。これは後の章で詳しく紹介していきます。

AIは責任を取らない

AIに悩みを相談していると、まるで経験豊富なアドバイザーと話しているような気分になることがあります。

質問をすれば答えてくれる。悩みを打ち明ければ励ましてくれる。選択肢を示し、時には背中を押してくれることもあります。

しかし、どれだけ親身な回答をしてくれたとしても、忘れてはならないことがあります。

それは、AIはその結果に責任を取らないということです。

例えば、

「転職した方がいいでしょうか」

「この人と一緒になるべきでしょうか」

「この投資をしても大丈夫でしょうか」

といった相談をしたとします。AIはさまざまな意見や選択肢を提示してくれるでしょう。

しかし、その助言に従った結果、良い結果になろうと悪い結果になろうと、その責任を負うのは利用者自身です。

失敗しても現実をリセットさせることはできませんし、AIが損失を補償してくれることもありません。責任を感じることもないです。

これは人間の相談相手との大きな違いでもあります。もちろん、人間に相談した場合でも最終的な責任は自分にあります。しかし、家族や友人、上司や専門家は、自分の発言に対して一定の責任感を持っています。

一方でAIには、そのような利害関係がありません。AIはあくまで回答を生成しているだけです。だからこそ、AIの言葉には適切な距離感が必要です。

AIは相談相手にはなれます。しかし、人生の責任者にはなれません。重要な判断をするときほど、この当たり前の事実を忘れないことが大切です。

AIの役割は、私たちの代わりに決断することではなく、決断するための情報や視点を提供することです。

最終的な選択を行い、その結果を引き受けるのは、いつの時代も私たち自身なのです。

人生を左右するお金の相談

健康と同じように、お金の相談も慎重に行う必要があります。

近年では、生成AIを資産運用や家計管理に活用する人が増えています。マネーフォワードが実施した調査によると、生成AIを利用している人のうち、お金に関する情報収集や意思決定の相談に活用している人は52.7%に上りました。

特に20代から30代では半数以上が利用しており、若い世代を中心にAIが新たな相談相手になっていることがわかります。 

実際、AIはお金の相談と相性が良い面があります。家計の見直しや節約方法、NISAやiDeCoの仕組み、保険の基礎知識などをわかりやすく説明してくれます。

僕自身も、税金のことなどお金に関する疑問が浮かんだときには、まずAIに聞くことがあります。しかし、その便利さの裏にはリスクもあります。

投資の世界では、未来を正確に予測できる人は存在しません。これはAIも例外ではありません。どれだけもっともらしい市場分析を示したとしても、将来の株価や為替を保証することはできないのです。

さらに、お金の問題は結果が数字として現れます。恋愛のアドバイスが外れても金銭的な損失になりませんが、投資や借金の判断を誤れば、数十万円、数百万円という損失につながることもあります。

AIは優秀なアドバイザーにはなれますが、あなたの資産運用の責任者にはなれません。

お金の相談ではAIの答えを鵜呑みにするのではなく、自分自身でもよく考えて判断していくことが重要だと言えます。

そして起こる結果については、AIは責任を取りません。すべて自身の責任です。それをしっかりと認識し、リスクも考慮しながら活用していくことが大切になります。

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