美術史を学んでみたくないですか?
「アートをもっと知りたい」「西洋美術史をちゃんと学んでみたい」と考えている人は多いと思います。
そんな場合にピッタリの入門講座を用意しました。
初心者にもわかりやすく、楽しみながら西洋美術史を学んでいけます!
僕はアーティストでブロガーでKindle作家をしている、日下晃と申します。
そして西洋の歴史や文化に関しては専門であり、自信があります。
なので、わかりやすく楽しめる授業を、お届けすることができると考えています。
ここでは20世紀から現代に至るまでを、年代順にポイントを抑えながら解説していきます。
という訳で、西洋美術史を楽しく学んでいきましょう。
僕は大学で西洋史を専攻していました。歴史の授業は任せてください。
そもそも中世ヨーロッパとは何か?その本質からよくわかる解説!
西洋美術史の基本的な流れ
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まずは基本を抑えることが重要です。
歴史的な流れがイメージできると、より理解がしやすいと思います。そこで、わかりやすい西洋美術史マップをつくってみました。
歴史というのは非常に長大な学問なので、まずは大まかな流れから把握しましょう。
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年表で見て把握できると流れをつかみやすいと思います。
全体のイメージがつかめたら、もっと詳しく学んでみましょう。
20世紀
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20世紀ほどの激動と変化の時代はありません。
人類文明そのものが大きく発展したと同時に、かつてないほど破滅的な危機を生み出しました。
まず科学技術の発展はめざましいものでした。
自動車、鉄道、航空、そして宇宙開発。
人類の行動可能な範囲は地球全域から宇宙空間にまで及ぶようになります。
またエネルギーの中心は電力と石油になりました。
都市は高層ビルが並ぶ大都会となり、交通網の発展は世界中を結びつけました。
科学技術の発展は、同時に極めて破壊力の大きい兵器も作り出します。
重火器に戦車、爆撃機に潜水艦、果ては核兵器という究極の兵器を生み出すに至ります。
それらは二度の世界大戦で存分に使用され、いまだかつてない惨状をつくりだしました。
科学技術が発展し、人々の生活水準が大きく向上していった。一方で二度の世界大戦が起こり、各地で甚大な被害を出した。
そして20世紀を特徴付けるのは、大量生産・大量消費の文化であり生活様式です。
大量の商品と広告に囲まれた生活が、一般的なものとなっていきました。
それと同時に環境問題が各地で深刻化し、地球規模の問題となりました。
世界経済においては、超大国となったアメリカを中心とした秩序が出来上がります。
また新自由主義が拡大され、多国籍企業が急速に成長していきました。これに伴い、格差の拡大が急激に進みました。
大量生産・大量消費を基本とした、社会システムが出来上がっていった。またアメリカが超大国として台頭した。
- アール・ヌーヴォー
- フォーヴィスム
- キュビスム
- シュールレアリスム
- 抽象表現主義
- ポップアート
芸術の分野にあっては、これまでにない前衛的なものが多く生み出されます。
写真や映像技術、各種メディアの発達もあり、芸術に求められるものが大きく変化し始めたのです。
テレビやラジオといったメディアの誕生。またコンピュータの発明も、重要な出来事でした。
アール・ヌーヴォー
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19世紀末から20世紀初頭にかけて、アール・ヌーヴォーという芸術運動が起こります。
花や植物などのモチーフや自由な曲線の組み合わせによる装飾、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴です。
その影響は、建築、工芸、グラフィックデザインなど多岐の分野に渡りました。
当時のフランスはパリを中心として、ベル・エポックと呼ばれる繁栄の時代にありました。
華やかな都市の文化が隆盛し、アール・ヌーヴォーはその流れと合わさり発展していったのです。
生命感に溢れた、華やかな芸術様式がアール・ヌーヴォーである。
また、印象派と同じくジャポニズムから強く影響を受けています。
代表的な芸術家に、ミュシャ、ロートレック、クリムトなどがいます。
アール・ヌーヴォーは「新しい芸術」を意味します。
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アール・ヌーヴォーの芸術運動において、アイコン的な存在となったのが、フランスの舞台女優であるサラ・ベルナールです。ベル・エポックの時代を象徴する大女優で、「最初の国際スター」とも言われます。ミュシャの『ジスモンダ』をはじめ、多くの芸術家が彼女をモデルに作品をつくりました。
フォーヴィスム
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自由で激しい色彩と動きを特徴とするのがフォーヴィスムです。
20世紀初頭のこの絵画運動は、伝統である写実表現とは決別し、心が感じる動きや色彩を力強く表現しました。
荒々しく力強い色彩の芸術様式がフォーヴィスムである。
フォーヴィスムとは野獣派を意味し、その荒々しく力強い色彩やタッチから名付けられました。
代表的な画家に、マティス、ルオー、フリエス、ドラン、ドンゲンなどがいます。
フォーヴィスムは、のびのびとした力強さを感じさせます。
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フォーヴィスムは、日本の近代美術に強く影響を与えたことで有名です。当時の多くの芸術家が、その様式を取り入れていきました。大正ロマンを代表する画家の竹久夢二は、ドンゲンの作品に強くインスパイアされたといわれています。
キュビスム
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対象の立体性を、多角的な視点から再構築して表現したのがキュビスムです。
ブラックやピカソが創始した芸術様式で、形状の解体からの再構築という、これまでにない発想による表現方法でした。
物体の形状を把握した上で、それを一端バラバラに解体し、それを自由にまた繋ぎ合わせます。
形状の解体と再構築という表現をしたのがキュビスムである。
キュビスムの起こりは、ピカソの『アヴィニョンの娘たち』だったと言われています。
ブラックもすぐにその後に続き、キュビスムの作品を制作し始めました。
そして、ピカソとブラックは共同で作業するようになり、キュビスムの様式を確立していきました。
キュビスムは、立方体を意味するキューブがその由来です。
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ピカソの代表作『ゲルニカ』は、20世紀最大の絵画といわれます。ナチスドイツによる、スペインの古都ゲルニカへの無差別爆撃を描いたものです。今日では反戦や抵抗のシンボルとして、あらゆる戦争を告発する絵画とされています。
シュールレアリスム
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20世紀に入ると、新たな学問である心理学の研究が盛んになりました。
芸術活動もその影響を受け、人間の深層心理にある無意識を表現しようとします。
それがシュールレアリスムです。
現実的な常識や道徳的な価値観を捨て、無意識の探求による思考のイメージ化を目指しました。
深層心理にある無意識世界をイメージ化したのがシュールレアリスムである。
フロイトの精神分析と、マルクスの革命理論を主な思想的基盤としています。
代表的な芸術家は、マグリット、ダリ、キリコなどです。
シュールレアリスムは、SFな雰囲気が満点です。
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20世紀に入ると心理学が発展しました。フロイトやユングといった代表的な研究者は、人間の深層心理にある無意識に注目します。フロイトは個人の自我や欲望を研究しました。ユングは個人よりも人間全体に共通した集合的無意識を研究しました。
抽象表現
20世紀になって著しく現れ始めたのが抽象表現です。
抽象表現とは、具体的な対象を描き写さない表現方法のことです。
カンディンスキー、モンドリアン、ミロ、クレーなどがその起こりだと考えられます。
20世紀に起こった、具体的な対象を描かないのが抽象表現である。
1940年代頃からは、アメリカのニューヨークを中心に抽象表現主義という芸術運動が盛んになります。
これは第二次大戦の戦火を避けて、ヨーロッパから大勢の芸術家たちが移住してきたのが要因です。
美術家、音楽家、建築家、デザイナーなど多くの文化人がやってきたことで、アメリカにおける芸術活動が先鋭化したのです。
代表的な芸術家は、ポロック、ニューマン、ロスコなどです。
抽象表現は、無意識における神話的イメージです。
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現代美術の抽象表現は、人間の無意識を抽象的にイメージ化したものです。そして面白いのは、それらが原始美術によく似ていることです。古代から現代に至るまで、人の心の本質は変わらないということでしょう。
ポップアート
1960年代頃から、アメリカを中心として盛んになった芸術様式がポップアートです。
20世紀という時代を特徴付ける、大量生産・大量消費をテーマとしています。
大量生産品の雑誌や広告、食料品、漫画、写真などをモチーフとして表現されます。
大量生産・大量消費をテーマとしたのがポップアートである。
そして大衆文化を芸術に取り込んだ、という点が大きなポイントです。
またサブカルチャーが大きく影響していきます。
映画、漫画、アニメ、ポピュラー音楽などが代表です。
代表的な芸術家は、ウォーホル、リキテンシュタインなどです。
ポップアートは、意図的な世俗化・俗物化による芸術表現です。
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20世紀に入り大量生産・大量消費の生活が定着すると、映画、アニメ、漫画、ポピュラー音楽などといった大衆文化が時代を席巻します。そして次第にその価値が認められていき、芸術文化としても認識される様になりました。
21世紀
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21世紀に入ると、情報通信技術が急速に発展します。
コンピュータとネットワークの開発は凄まじい勢いで進み、同時に瞬く間に全世界に普及していきました。
2000年代からインターネットと携帯電話が急速に普及します。そして2010年代からは、スマートフォンが爆発的に普及しました。
また21世紀を特徴づける文化が、インターネットのソーシャルメディアです。
情報の共有や発信が飛躍的に向上する一方で、様々な問題も生んでいます。
さらに人工知能(AI)の技術が大きく進歩しました。これにより、これまで人間しかできなかった仕事も、コンピュータに任せることができる様になりました。
この様に21世紀は、コンピュータとインターネットを中心とした、情報技術が目覚ましく発展したのが大きな特徴です。
携帯電話やインターネットほど、急速に世界中に普及した技術はありません。
コンピュータとインターネットを中心とした、情報技術が目覚ましく発展した。
また西洋世界においては、アメリカでの同時多発テロ以降、国家対国家ではなく国家対テロの構図ができます。
欧米諸国は、対テロリズムとの争いに突入していきました。
また中国が台頭し、アメリカと並ぶ大国となります。
そして新自由主義による資本主義の暴走は、歯止めがきかなくなっています。
それは一切全てを商品化していく「市場原理主義」です。
大企業や富裕層に富が集中して、かつてないほど格差が拡大しました。
新自由主義(市場原理主義)により、格差が急速に広まった。
また2020年からの新型コロナウイルスの世界的流行は、人類史においても例のない未曾有の事態となりました。
しかし同時に、世界各国で新自由主義からの転換なども見られる様になってきています。
また石油や原子力などに代わる、再生可能エネルギーの開発が進められています。
- 表現の多様化
- 様々な学問分野にまたがる
- 空間そのものを用いた体験型
芸術活動の分野においては、その表現形式の多様化が見られます。
また漫画やアニメやゲームといった、かつてサブカルチャーとされたものも、文化作品として認めらるようになりました。
多様化する表現形式
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21世紀の芸術は、その表現がより多様化していきます。
写真、映像、音楽、機械、コンピュータ、建築、自然などあらゆるものを使って表現しています。
それは美術だけでなく、様々な学問分野にまたがる制作となりました。
なので平面的な絵画よりも、空間を利用した3次元的な作品が主流になってきています。
そうした芸術様式は、インスタレーションとも呼ばれます。
デジタル化が進む時代だからこそ、生身の肉体で感じられて体験できるアートが、求められているのかもしれません。
空間全体を利用した、体験型の作品が生み出されていった。
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まとめ
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いつの時代においても人間は芸術活動を行なってきました。
それらは偉大な先人たちの知恵に支えられています。培われた技術や精神を過去から受け継いできたのです。
そして芸術は人間の生命そのものです。
その生命から溢れる出るエネルギーを体現したものに他なりません。
その本質は、テクノロジーの発展した現代においても変わることはありません。
肉体と精神がある限り、これからも人間が芸術活動をやめることはないでしょう。