「このままではいずれハイパーインフレになる!」
誰もが聞いたことのある言い回しだと思います。
「通貨の信認が失われる」「円が暴落する」「国債が暴落する」
色々な言い回しで、通貨の信用に対する不安が叫ばれてきました。
通貨の信用に対して不安や心配を抱いている人も多いと思います。
そこでここでは、ハイパーインフレとは何か?日本でもいつか起こるのか?原因や対策はどうすればいいか?
などなど気になるポイントを、簡単かつわかりやすく解説したい思います。
ハイパーインフレとは何か?
ハイパーインフレーション
きわめて短い間に物価が急激に高騰する激しいインフレーション。 超インフレーション、ハイパーインフレともいう。 経済学者フィリップ・ケーガンPhillip D. Cagan(1927―2012)による定義では「インフレ率が毎月50%を超えること」であり、国際会計基準の定めでは「3年間で累積100%以上の物価上昇」である。
日本大百科全書
ハイパーインフレとは、超急激な物価上昇を指します。
物価の天文学的数字での上昇であり、これは同時に通貨の実質的な値段が、急激に暴落することです。
第一次世界大戦後の、ドイツの例がもっともよく知られています。
また近年では、ジンバブエやアルゼンチンの事例も有名です。
いつかハイパーインフレは日本でも起こるの?
では早速本題に入りましょう。
ハイパーインフレは日本でも起こるのか、という問題です。
断言できますが、絶対に起こりません。
「このまま財政赤字が拡大したら、ハイパーインフレになる!」
ということが、長年に渡り叫ばれてきました。
ハイパーインフレは、財政破綻と同義で使われることが多いですね。
しかし、いつまで経ってもそんなものは起きませんでした。
なぜなら完全なデマだからです。明確な根拠と共に、否定することができるのです。
現実がわかれば、「いつか日本でもハイパーインフレが起こる!」というのはジョークに等しいと理解できます。
ハイパーインフレの原因は何なの?
まず物価の水準というのは、需要と供給のバランスで決まっていきます。
インフレやデフレというものですね。
そしてハイパーインフレとは基本的に、国内の供給能力が壊滅的なときに起こります。
需要に対して供給が圧倒的に不足しているため、物価が急激に跳ね上がるのです。
これは国家全体がまともに機能していない様な、非常に不安定な場合においてのみ起こり得ます。
つまりは、敗戦国や途上国で起こるものなんですね。
まず先進主要国で起きる可能性はありません。これまでに起きた例もありません。
ちなみに財務省の公文書にも、「ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい」と記載されています。
近年自国通貨建て国債がデフォルトした新興市場国とは異なり、日本は変動相場制の下で、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。更に、ハイパー・インフレの懸念はゼロに等しい。
財務省 外国格付け会社宛意見書要旨より
財務省の公式サイトから確認できますよ。
ハイパーインフレになる!と言うのが、どれだけ的外れかよくわかりますね。
ジンバブエや戦後のドイツでは何でハイパーインフレが起こったの?
ハイパーインフレの発生条件は、国内の供給能力が壊滅的なことです。
それを踏まえて、ハイパーインフレになった国々をよく見てみましょう。
敗戦国や途上国、軍事政権や独裁、どこも国家として非常に不安定なんです。
戦争や紛争で焼け野原になっていたり、独裁によって極端な政策が行われていたり、といった状況だった訳です。
国家としての機能がまともに働いていない、これがハイパーインフレが起こる条件です。
これらの国々と現代の日本の状況を、並べて比べること自体がナンセンスだとわかりますね。
ハイパーインフレの対策は必要なの?
「自分の資産価値は大丈夫なのだろうか?」
恐らく多くの人が、心配していることではないかと思います。
ハイパーインフレなど、通貨の信用不安に対して、政府(財務省)とメディアが一体で煽りまくるので無理もありません。
「インフレでも価値が下落しない資産を保有しましょう」
という資産運用、リスクヘッジなどが盛んに言われますね。
ですが気にしなくても大丈夫です。なぜなら、日本の通貨の信用は盤石だからです。
下のグラフを見てください。
信用リスクが高まると、金利は上昇していくものです。
しかし現実はどうでしょうか?
政府債務が増えていっても、金利は上がるどころか下がり続けています。
つまり、政府債務の拡大が信用リスクにつながる、という従来の主張そのものが間違いだったのです。
それが明確なデータと共に、明らかになっているのです。
ハイパーインフレは起こらないという根拠は何なの?
まずハイパーインフレは、敗戦国や途上国で起こるものです。
国内の供給能力が壊滅的なことが、発生条件です。
そして現代の先進主要国は、管理通貨制度という仕組みのもとにあります。
現代のお金の仕組みそのものとも言えますね。
これのもとでは、金などの現物の担保が無くとも、政府は貨幣を自由に発行できます。
これは中央銀行があるためです。
これにより通貨の発行量を政府がコントロールできるので、その信認も政府によって強固に守られています。
デフレのときは貨幣の供給を増やし、インフレのときは貨幣の供給を減らす。この調整を政府が管理できます。
そのため、主要国においてハイパーインフレは起こり得ないのです。
政府が主体的に、貨幣の供給量を管理しているためです。また、国内の供給能力が壊滅的ではないからです。
もし日本でハイパーインフレが起きるとすれば、世界大戦や地球滅亡くらいでしょう。
もしくは政府が意図的に、通貨を暴落させようと頑張り続けることです。
まとめ
ハイパーインフレとは何かを、わかりやすく解説しました。
それは超急激な物価上昇であり、敗戦国や途上国で起こる現象です。
国内の供給能力が壊滅していることが、その発生条件です。
日本をはじめ、主要国で起こる可能性はゼロだと言えます。これは財務省のお墨付きです。
また現代の主要国は、管理通貨制度というもとにあるので、通貨の信認は自分たちで守ることができるのです。