ギリシア神話

ヘラクレスの「12の難行」とは何か?詳しく解説します!

ギリシア神話における、最大の英雄がヘラクレスです。

ヘラクレスは、オリュンポスの神々にも匹敵する力を持った超人でした。まず間違いなく最強クラスです。

まさに大英雄であり、ギリシア神話の中でも特に有名で人気があります。

ヘラクレスの「12の難行」を解説!

そして様々な冒険を乗り越えて、数々の功績をあげました。

それがヘラクレスによる「12の難行」です。

ミュケナイの王、エウリュステウスから課されたものでした。

そしてギリシア神話の最強の英雄は、その冒険ぶりも半端じゃありません。

現代におけるヒーローものの原点と言えるかもしれません。

ここでは、そんな12の難行を詳しく解説しました。

ギリシア随一の英雄が織りなした、数々の冒険譚を巡ってみましょう。

『ギリシア神話の教科書』

ネメアの獅子

ヘラクレスの第1の難行は、ネメアの谷に住む凶暴な獅子退治でした。

この獅子は鉄の様に強靭な皮膚を持ち、矢も剣も弾かれました。

この獅子に対し、ヘラクレスは素手で掴みかかります。そして三日間に渡る格闘の末に、獅子の首を絞め上げて殺したのでした。

その後あらゆる武器を弾く毛皮は加工され、ヘラクレスはこれを頭からかぶり、鎧として用いました。

また女神ヘラはこの獅子を気に入り、天に上げて獅子座にしました。

怪物ヒュドラ

続く第2の難行は、怪物ヒュドラ退治でした。

ヒュドラは無数の首を持つ大蛇の怪物です。

凄まじい猛毒を持っていて、その吐き出す息を吸っただけで人間は死んでしまいます。

さらに頭を切り落としても、すぐに次の頭が生えてきます。

ヘラクレスは甥のイオラオスと共に、この怪物と戦います。

ヘラクレスが首を次々と切り落とし、イオラオスが松明の火で切り口を焼き、再生を防ぐことで倒しました。

またヘラクレスはヒュドラの毒を矢に塗って、その後の冒険で利用します。

ケリュネイアの鹿

続いての第3の難行は、ケリュネイア山中にいる黄金の角を持つ鹿の捕獲でした。

女神アルテミスに捧げられた鹿で、それを傷つけることは許されませんでした。

ヘラクレスは1年間かけて鹿を追いかけ、疲れたところを捕らえたのでした。

エリュマントスの猪

それからヘラクレスは第4の難行に挑みます。

それは、エリュマントス山に住む大猪を生け捕りにしました。

生け捕り自体はすぐ片づきましたが、このとき誤って師匠であるケイロンを死なせてしまいました。

ケイロンはケンタウロス族の賢者で、ヘラクレスやアキレウスはじめ数々の英雄たちを育て上げました。

このケイロンの死を惜しんだゼウスは彼を天に上げ、いて座にしました。

アウゲイアスの畜舎

次の第5の難行は、アウゲイアス王の畜舎を掃除することでした。

この家畜小屋は、30年間一度も掃除されていない汚れ放題の状態でした。

そこでヘラクレスは川の流れを強引に変え、それにより汚れを一気に流したのでした。

怪鳥ステュムパロス

続く第6の難行は、怪鳥ステュムパロスの退治でした。

ヘラクレスがどうやって鳥を退治するか悩んでいると、女神アテナがやって来て、青銅のガラガラをヘラクレスに与えます。

それはオリュンポス十二神の一人である、炎と鍛治の神ヘパイストスがつくった道具でした。

ヘラクレスはこれを打ち鳴らして鳥を驚かせ、飛び上がったところを弓矢で射抜いたのでした。

クレタの雄牛

第7の難行は、クレタ島の凶暴な雄牛を捕まえることでした。

ヘラクレスはクレタ島のミノス王に協力を求めますが拒否されます。

そして自力で雄牛を捕らえたのでした。

ディオメデスの人喰い馬

続いての第8の難行は、ディオメデス王の人喰い馬を持ち帰ることでした。

ヘラクレスはディオメデス王たちと戦い打ち倒すと、人喰い馬を連れて帰還したのでした。

アマゾネスの女王ヒッポリュテ

続く第9の難行は、アマゾネスの女王ヒッポリュテの帯を手に入れることでした。

ヘラクレスは、ヒッポリュテに帯を渡してもらう約束をします。

しかし女神ヘラが「ヘラクレスは女王をさらっていこうとしている」と噂を流して妨害工作を行います。

そしてヘラクレスはアマゾネスたちと戦いになります。

ヘラクレスはヒッポリュテを殺すと帯を手に入れたのでした。

怪物ゲリュオンの牛

第10の難行は、怪物ゲリュオンの飼う牛を手に入れることでした。

ゲリュオンは三頭三体の怪物です。

頭も体も三つあるユニークな出立ちで、古代ギリシアの重装歩兵の装備で武装しています。

また二つ首の番犬オルトロスを従えています。

ヘラクレスは、オルトロスや牛の番人を棍棒で打ち殺します。そして追ってきたゲリュオンを、弓矢で射って倒します。

それから牛を連れて帰還したのでした。

黄金のリンゴ

第11の難行は、世界の果てにある黄金のリンゴを取ってくることでした。

黄金のリンゴはヘスペリデスというニンフたちが管理しており、またラドンという竜が守っていました。

ヘラクレスは、ヒュドラの毒のついた矢でラドンを倒し、黄金のリンゴを持ち帰りました。

女神ヘラはラドンを天に上げ、りゅう座としました。

また別の物語もあります。

ヘラクレスは自分では黄金のリンゴを取りに行かず、代わりに巨人のアトラスに頼みました。

アトラスはヘスペリデスたちの父親だったためです。

そしてその間、彼の背負っている天空を代わりに引き受けます。

アトラスは黄金のリンゴを手に入れて戻ってくると、再び天空を背負い続けるのが嫌になってきました。そして自分がリンゴを届けると言い出します。

ヘラクレスはそれを察すると、天空を支え続ける準備をしたいので少しの間だけ持っていてほしい、と頼みました。

それをアトラスが承知して天空を担いだ途端に、ヘラクレスは黄金のリンゴを取って立ち去ったのでした。

冥府の番犬ケルベロス

最後の第12の難行は、冥府から番犬ケルベロスを連れてくることでした。

ケルベロスは、冥府の入り口を守護する三つ首の番犬です。

冥府の王ハデスの忠実なしもべで、逃げ出そうとした亡者を捕らえて貪り喰います。

ヘラクレスは冥府へと赴くと、様々な障害を越えてハデスと面会します。

ハデスは、武器を使わずにケルベロスを連れて行く様に言いました。

そこでヘラクレスは、素手でケルベロスを引っ張っていきます。

途中で何度か噛みつかれたものの、獅子の毛皮をかぶっていたので平気でした。

こうしてヘラクレスは、ケルベロスを連れて来ることに成功したのでした。

その後ケルベロスは、またハデスの元へと返されました。

『ギリシア神話の幻獣たち』

【まとめ】

以上、ヘラクレスの「12の難行」の解説をお届けしました。

ギリシア神話の最強の英雄は、その冒険ぶりも半端じゃないのです。

こうした数々の試練を乗り越えたからこそ、ヘラクレスは最も有名な英雄なんですね。

そしてこれらの物語は、現代においても様々な文化作品においてモチーフとされ続けています。