人類最古の文明のひとつとである古代エジプト。
その歴史の中でつくられた、様々な芸術作品を紹介したいと思います。
それらは西洋美術の源流とも言えるものです。
また古代エジプトがどういう文明であったのか、わかりやすく解説しました。
長大な歴史が紡ぐ、悠久のロマンを感じてみてください。
古代エジプトとは何か?
北アフリカの、ナイル川流域で発展したのが古代エジプト文明です。
今からおよそ5千年ほど前に起こったとされる、人類最古の文明のひとつです。
メソポタミア文明と同様に、高度な文明社会を有していました。
また数学、医学、天文学といった、科学の基礎的な形を既に持っていました。
王はファラオと呼ばれ、現人神として崇拝され絶大な権力を持ちました。
そして、エジプト文明の文化的・社会的基盤と言えるのがエジプト神話です。
王族から一般市民まで、エジプト神話が文化全体に非常に強く影響を与えています。
エジプトは砂漠地帯ですが、ナイル川流域は土地が肥沃です。そのため農耕が可能になります。
古代エジプトを代表する芸術作品
古代エジプトでは、その長大な歴史の中で様々な芸術作品がつくられました。
絵画、彫刻、装飾品、建築などが主な芸術作品になります。
また、そのスタイルは非常にユニークで、長い歴史の中でもほとんど変化しませんでした。
現存している作品の多くは王墓や記念碑などから見つかったものです。
エジプト神話をベースとした、来世や復活などの永遠性への信仰がよく見てとれます。
エジプト美術における作品は、神話による永遠性の付与がその主なテーマだと言えます。
古代エジプトの美術は、誰もが一目でそれとわかります。
絵画
エジプトの絵画のスタイルは、約2500年もの間ほぼ同じスタイルで描かれ続けました。
大きな特徴は、正面を向いた胴体に横向きの顔と両足というスタイルです。
誰でも一目見てすぐに分かるもので、エジプト美術を象徴する特徴だと言えます。
ピラミッドをはじめ、王墓や神殿には数多くの壁画が描かれました。
またパピルスという紙にも、絵画が描かれました。
パピルスは、古代エジプトで使われた紙です。英語のpaperの由来となりました。
耕作、収穫、脱穀の様子
紀元前約1350年頃
いつの時代においても、芸術作品には神話的イメージを表現したものが多いです。
古代エジプトにおいて使用された文字がヒエログリフです。象形文字とも言われ、現代の絵文字に近いものです。19世紀にロゼッタストーンという石碑が発見され、解読が可能になりました。ロゼッタストーンには、ヒエログリフと共にギリシア文字も刻まれていました。
彫刻
古代エジプトの神殿や王墓には、様々な彫刻が存在します。
浮き彫りのレリーフや、埋葬品としての彫像などです。
彫刻も絵画と同様で、直立した静的なスタイルが特徴です。
とても精巧なつくりで、当時の文化水準の高さを伺わせます。
また、大きめの彫刻作品がよく知られていますが、実際は小さな作品の方がはるかに多く存在します。
これらもエジプト神話を主なテーマとして、何千年も同じスタイルでつくられ続けました。
エジプト神話は自然崇拝の多神教です。特に太陽を永遠性のシンボルとして、あつく信仰していました。
紀元前1327年頃
紀元前1352–1336年頃
紀元前2551〜 2523年頃
紀元前332〜280年頃
紀元前332〜30年頃
紀元前1390年〜1352年頃
紀元前1069〜664年頃
紀元前945〜715年頃
紀元前500年頃
紀元前332〜30年頃
古代エジプトでは金が多く産出され、芸術作品や交易品によく用いられました。
世界最古のボードゲームが、古代エジプトで使用された「セネト」です。最も古いものだと、紀元前3500年頃のものになります。30個の四角のマス目があり、2種類の駒を用います。2人のプレイヤーによるレースゲームだった様です。
建築
古代エジプトの建築は、レンガ、砂岩、石灰岩、花崗岩を主に使用していました。
王墓や神殿は非常に大規模なものでした。
神殿やピラミッドのような建造物には、鮮やかな絵画や彫刻がふんだんに使用されています。
スカラベ、太陽、ハゲワシなど多くのモチーフが施されました。
柱のデザインには、蓮の装飾がよく用いられました。
エジプト神話において、世界の創造が展開された沼地を象徴しているとされます。
エジプトは乾燥した砂漠地帯なので、木材よりも石材がよく使われました。
紀元前2600年から2500年頃
紀元前1264年頃
紀元前1264年頃
紀元前237年〜57年
紀元前237年から57年
長らくの間、ピラミッドの建設は奴隷を強制労働させた、という説が主流でした。しかし現在では発掘による解析がすすみ、この説は否定されています。国家事業として自由身分の労働者たちが建設を担った、というのが定説となっています。
装飾品
古代エジプトでは、装飾品も愛用されていました。
埋葬の際にも、多くの装飾品が共に納められました。
王室の宝飾品には、様々な素材が見られます。
金、銀、銅をはじめ、真珠、カーネリアン、トルコ石、ラピスラズリなどの宝石がよく用いられました。
指輪、イヤリング、ネックレス、ブレスレット、お守りなどが主な装飾品です。
それらは、着用者の富や地位を表すためにも用いられました。
古代エジプトの服装は、男性は腰巻、女性はワンピースが一般的でした。素材は主にリネンでした。
紀元前1981–1975年頃
紀元前1887年〜1813年頃
紀元前1850–1775年頃
紀元前1325年頃
紀元前1980年頃
紀元前1550–1186年頃
古代エジプトでは、スカラベ(フンコロガシ)が神聖なシンボルでした。動物の糞を球体にして転がすスカラベの習性を、太陽の運行を司る神である、太陽神ケプリと同一視したのです。そのため、再生や復活の象徴としてよく用いられました。
まとめ
古代エジプト美術を、歴史や文化を交えて紹介しました。
その独自のスタイルは、長い歴史の中でも変わらず受け継がれ続けていました。
そしてエジプト神話を主な基盤として、様々な芸術作品がつくられます。
その素晴らしい作品の数々は、当時の文化や人々の様子を今に伝えています。