美術史を学んでみたくないですか?
「アートをもっと知りたい」「西洋美術史をちゃんと学んでみたい」と考えている人は多いと思います。
そんな場合にピッタリの入門講座を用意しました。
初心者にもわかりやすく、楽しみながら西洋美術史を学んでいけます!
僕はアーティストでブロガーでKindle作家をしている、日下晃と申します。
そして西洋の歴史や文化に関しては専門であり、自信があります。
なので、わかりやすく楽しめる授業を、お届けすることができると考えています。
という訳で、西洋美術史を楽しく学んでいきましょう。
ここでは古代からルネサンスまでを、年代順にポイントを抑えながら解説していきます。
僕は大学では西洋史を専攻していました。歴史や芸術の授業なら任せてください。
そもそも中世ヨーロッパとは何か?その本質からよくわかる解説!
西洋美術史の基本的な流れ
どんな分野でもそうですが、まずは基本を抑えることが重要です。
美術史も歴史的な流れがイメージできると、より理解がしやすいと思います。そこで、分かりやすい西洋美術史マップをつくってみました。
歴史というのは非常に長大な学問なので、まずは大まかな流れから把握しましょう。
歴史の流れがわかると、だいぶイメージしやすいと思います。
全体のイメージがつかめたら、もっと詳しく学んでみましょう。
- 当時の歴史的な時代背景を抑える
- 代表的な作家や作品を知る
それでは、西洋美術史を年代順に詳しく解説していきます。
歴史的な時代背景と共に、代表的な作家や作品なども紹介したいと思います。
旧石器時代
旧石器時代は約200万年前に始まります。
石器の出現から農耕の開始までの時代をさします。
人類の文明の歴史がおよそ1万年ほどなので、あまりに途方もないスケールですね。
原始美術
原始時代の狩猟生活の頃に、原始的な芸術作品が現れ始めます。
ラスコーやアルタミラの洞窟壁画などがその代表です。
道具の利用、火の利用、住居の利用、死者の埋葬などによって、様々なことを考え始めたからではないかと思われます。
それにより、人としての精神性が出来上がっていったのでしょう。
20世紀の抽象表現主義は、人間の無意識をイメージ化したものです。面白いのは、それらが原始美術によく似ていることです。
古代文明
人類最古の文明のうち、西洋美術の源流と深く関わるのが、メソポタミア文明とエジプト文明です。
今からおよそ5000年ほど昔に、起こったものと考えられています。
これらの文明では、原始時代よりも遥かに発達した文化が出来上がりました。
文字の使用、都市の誕生、法律の制定、インフラの整備などなど、現代の国家に近い高度な社会システムが既に存在していました。
また、それぞれ独自の神話体系を持つことも重要です。
芸術作品というのは、多くの場合において神話的なイメージを体現したものだからです。
ちなみに、この頃から既にビールもワインも飲んでいました。
古代メソポタミア美術
西アジアのティグリス川、ユーフラテス川の流域で発展したのがメソポタミア文明です。
その遺構からも、高度な文明社会であったことが分かります。
美術の分野も例外ではなく、装飾の施された工芸品や彫刻、建築物などが数多く生み出されました。
またメソポタミア神話という、独自の神話体系を有していました。
いまの現代社会でも使われる7曜制や60進法はメソポタミアで生まれたものです。一週間が7日で一時間が60分なのは、古代文明までその起源を遡るのです。
古代エジプト美術
北アフリカのナイル川流域で発展したのが、エジプト文明です。
メソポタミア文明と同様に、非常に高度な文明社会を有していました。
数学、医学、天文学といった科学の基礎的な形を既に持っていました。
そして、エジプト神話を基盤として様々な芸術作品が生まれました。
墓や神殿といった建築物、また身につける装飾品に至るまで、神話のテーマを想起させるよう設計されていました。
一般庶民から王族まで、エジプト神話が文化全体に非常に強く影響を与えていました。
ピラミッドは奴隷を強制労働させてつくった、という説は現在では否定されています。公共事業として自由市民が建造を担った、というのが主な学説です。
ギリシア・ローマ時代
西洋の古代文明において、非常に重要なのが地中海世界です。
その後の西洋世界の礎となる、高度で洗練された文化が生み出されていきました。
海路を通じての交易でその勢力を拡大した古代ギリシア、
そしてその後に地中海世界を支配する古代ローマ、
この2つの文明が中心的存在です。
地中海地域は暑く乾燥した気候です。果樹栽培に適していて、古代の頃からオリーブやワインが主要な生産物でした。
古代ギリシア美術
古代ギリシアは、驚くべきほど高度な文化水準に達していました。
学術的な知見が体系的にまとめられ、哲学、自然科学、歴史学など今日の学問の基礎が成立します。
学問の発展により技術が向上し、技術の向上に伴い文化水準が向上していったのです。
それにより、芸術活動もより活発に行われます。
美術においては、非常に精巧な彫刻作品がつくられました。
現代の解剖学的に見ても正確で、その技術力の高さを物語っています。
東方のオリエント世界と交わることでヘレニズムという文化が生まれ、ギリシア的な芸術が形成されていきました。
そして、重要な要素がギリシア神話です。
その後の西洋世界にも多大な影響を与え続け、キリスト教と並ぶ精神的・文化的な基盤となっていきました。
古代ギリシアのエラトステネス(紀元前276年-紀元前194年)は、地球の円周をほぼ正確に測定していました。
哲学、文学、数学、天文学、医学、歴史学。今日の学問の基礎となるものの多くが、古代ギリシアにおいて成立しました。また演劇やスポーツ競技も始まります。
古代ローマ美術
ギリシアの次に西洋世界の主役となったのが、古代ローマです。
イタリア半島の都市国家にすぎなかったローマが、地中海世界全体を支配する大帝国にまで発展しました。
ギリシアの学問を引き継いだことで、高度な文化水準を有していたことが大きいでしょう。
ローマ街道、ローマ水道、公共浴場など非常に発達した公共インフラを整備していました。
また建築の技術は極めて優れていて、コロッセオやパンテオンといった巨大な建造物をつくっています。
美術の分野においてはギリシアのヘレニズム文化を引き継ぎ、優れた彫刻作品などがつくられました。
また現存しているものは少ないですが、様々なモチーフで絵画も描かれています。
古代ローマではコンクリートが発明され、様々な建築に利用されました。頑丈なつくりで、今日でも当時の姿をそのまま残しています。
コロッセオという円形闘技場では生死をかけた闘いが見せ物となりました。剣闘士と呼ばれる奴隷同士を争わせ、ときには猛獣を相手にさせることもありました。これらはローマ市民に無料で提供され、皇帝と大観衆が共に観戦しました。
中世
5世紀頃に西ローマ帝国が滅びると、西洋世界は中世の時代に入ります。
中世を語る上で欠かせないのが、キリスト教と封建制です。
フランク王国の成立以降、ローマ・カトリックが勢力を拡大し各地に教会が建てられました。
教会は王族や貴族に匹敵する、絶大な権力を握ります。
また社会には、主君と臣下という封建的主従関係が広まりました。
中世の封建制のもとで、騎士身分が成立していきます。吟遊詩人たちは、そのあるべき理想を騎士道物語にして歌い上げました。
中世のはじめに著しい文化水準の没落と停滞が起こりました。キリスト教世界がギリシア文化を排斥したためです。自然科学などを追いやり、神学を最高の学問としたのです。この文化の断絶は、西洋社会の進歩を大きく遅らせるものでした。
初期キリスト教美術
中世においてキリスト教は、西洋社会の基盤ともいえるほどに広がりました。
美術の分野においても、キリスト教が主な題材となります。
フレスコやモザイク画、彫刻などがつくられました。
また写本の中における、装飾としての美術があります。
ビザンティン美術
東西に分かれたローマ帝国のうち、東ローマはビザンツ帝国と呼ばれます。
正教会というキリスト教の宗派を中心とした国家で、東欧世界に広く布教を行いました。
ルネサンス期において、首都コンスタンティノープルがオスマン帝国に陥落させられ滅びました。
ビザンティン美術としてモザイク画が有名です。
ビザンツ帝国の布教した正教会は、今日でもロシアや東欧において広く信仰されています。
ルネサンス
14世紀頃から、イタリアを中心にルネサンスという文化運動が巻き起こりました。
中世のキリスト教的世界観から脱し、ギリシア・ローマ文化の再生を目指すものです。
まず、ギリシア・ローマの学問を呼び戻したことで、これまで遅れていた科学の分野が発展します。
これにより、遅れていた文化水準が向上しました。
こうした科学や文化水準の向上に伴い、芸術分野も飛躍的な進化を遂げることが出来たのです。
文学、音楽、絵画、彫刻、建築といったあらゆる文化で、めざましい功績が生み出されていきました。
ルネサンスは、その後の西洋文明ひいては人類史上における一大事件だったといえます。
この頃を境に西洋社会は息を吹き返し、世界における文化的中心となっていきます。
ルネサンスは文化の復興というより、科学をはじめとした学問の復興である、と言う方が的を得ていて理解しやすいと思います。
イタリアルネサンスの少し前に、大翻訳時代という重要な時期があります。イスラム世界から流入した学術書を、知識人たちが大量に翻訳したのです。当時のイスラム社会は、世界で最も高度な文化水準を持っていたからです。この時代を12世紀ルネサンスとも呼びます。
イタリアルネサンス美術
ルネサンスの本流はイタリアから起こりました。
産業の発展により栄えた、北イタリアの諸都市がその主な担い手です。
特にフィレンツェはその中心地でした。
これら諸都市の商人や貴族の支援を受け、様々な芸術家たちが活躍できたのです。
ミケランジェロ、ラファエロ、ダヴィンチといった、美術史上でもそうそうたる顔ぶれが揃っていました。
イタリアで発展したルネサンスは、その後ヨーロッパ各地に影響を広めていきます。
ルネサンスではヒューマニズム(人文主義)が起こります。個人の尊重の芽生えであり、その後の西洋世界における、最も基本的な価値基準となっていきました。
美術史上で最も有名な絵画が『モナ・リザ』です。レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれたこの絵は、現在はフランスのルーヴル美術館に所蔵されています。今日においてもダントツの人気で、多くの人々を魅了しています。
北方ルネサンス美術
イタリアからの影響を受けて、ヨーロッパ諸国で起きた文化運動を北方ルネサンスと呼びます。
ネーデルラント、ドイツ、スペイン、フランス、イギリスが主な担い手です。
それぞれの国で、多種多様な芸術運動が展開されていきました。
そしてルネサンスの発展は、ローマ・カトリックの弱体化と封建制の衰退と共に進んでいきました。
15世紀から17世紀頃にかけて、西洋の国々は世界各地へ大規模な航海を行いました。ルネサンスによる羅針盤の発明、航海術や造船技術の発達がそれを可能にしたのです。大航海時代の訪れでした。これにより世界各地に植民地をつくり、覇権を広げていくことになります。
まとめ
いつの時代においても、人間は芸術活動を行なってきました。
それらは、偉大な先人たちの知恵に支えられています。培われた技術や精神を、過去から受け継いできたのです。
そして芸術は、人間の生命そのものです。
その生命から溢れ出るエネルギーを、体現したものに他なりません。
肉体と精神がある限り、これからも人間が芸術活動をやめることはないでしょう。