美術史を学んでみたくないですか?
「アートをもっと知りたい」「西洋美術史をちゃんと学んでみたい」と考えている人は多いと思います。
そんな場合にピッタリの入門講座を用意しました。
初心者にもわかりやすく、楽しみながら西洋美術史を学んでいけます!
僕はアーティストでブロガーでKindle作家をしている、日下晃と申します。
そして西洋の歴史や文化に関しては専門であり、自信があります。
なので、わかりやすく楽しめる授業を、お届けすることができると考えています。
ここでは近世から19世紀に至るまでを、年代順にポイントを抑えながら解説していきます。
という訳で、西洋美術史を楽しく学んでいきましょう。
僕は大学で西洋史を専攻していました。歴史の授業なら任せてください。
そもそも中世ヨーロッパとは何か?その本質からよくわかる解説!
西洋美術史の基本的な流れ
まずは基本を抑えることが重要です。
歴史的な流れがイメージできると、より理解がしやすいと思います。そこで、わかりやすい西洋美術史マップをつくってみました。
歴史というのは非常に長大な学問なので、まずは大まかな流れから把握しましょう。
歴史の流れがわかると、イメージをつかみやすいと思います。
全体のイメージがつかめたら、もっと詳しく学んでみましょう。
- 当時の歴史的な時代背景を抑える
- 代表的な作家や作品を知る
それでは、近世から19世紀にかけても西洋美術史を、年代順に詳しく解説していきます。
歴史的な時代背景と共に、代表的な作家や作品なども紹介したいと思います。
17・18世紀
17・18世紀頃を、歴史学では近世と呼びます。
近世に入ると、新しい政治や社会思想が生まれ、近代的な主権国家体制が確立していきました。
国家の主権を最高権力として、各国が並存し合う形です。
今日まで続く、国際秩序の基本が出来上がったのです。
この頃の西洋社会は、集権化により絶対王政が最盛期を迎えています。
各国の王が絶対的な権力を持っていました。
絶対王政による華やかな宮廷文化が、17・18世紀の美術の特徴です。
近世において絶対王政が最盛期となる。各国の王が絶対的な権力を握っていた。
また科学の分野は飛躍的な発展を遂げ、科学革命と言われる時代でした。その後の産業革命にも繋がっていきます。
名実ともに世界の中心となった西洋世界は、植民地政策によって覇権を更に広げていきました。
その中で独立戦争の勝利を経て、アメリカ合衆国が建国されます。
同時期にフランス革命、ラテンアメリカ諸国の独立革命など、市民革命が連鎖的に起こっていきました。
大航海時代を経て、世界各地にヨーロッパの植民地が建設されました。
植民地政策による侵略、各地での市民革命、また科学分野の飛躍的な進歩が起こった。
- バロック美術
- ロココ美術
この時代、芸術の分野も、王族や貴族の文化を中心として盛んになります。
バロック、ロココが主な芸術様式です。
バロック美術
17世紀から18世紀のヨーロッパ諸国における、絶対王政などを背景とした芸術様式をバロックといいます。
豪華で華麗な宮廷文化になります。
影響は彫刻、絵画 文学、建築、音楽などあらゆる芸術領域に及びました。
動的な躍動感、凝った装飾の多用、強烈な光の明暗の対比などが特徴です。
ルネサンスの頃よりも、一瞬の感情や情熱の表現を追求していました。
絶対王政を背景とした、華やかで荘厳な芸術様式がバロックである。
黄金時代にあった、スペインやオランダの芸術家たちが活躍したことも特徴的です。
ルーベンス、カラヴァッジョ、ベラスケス、レンブラント、フェルメール、ベルニーニなどが代表的な芸術家です。
スペイン、オランダはこの時代において繁栄を築いていました。海上交易と植民地からもたらされた富が要因です。
ヴェルサイユ宮殿
バロック建築の傑作が、ルイ14世がつくらせたヴェルサイユ宮殿です。国王の絶大な権力を誇示する、華麗で豪華な様式になっています。豪華な建物と広大な美しい庭園から成り、絶対王政を象徴する建築物といえます。
ロココ美術
荘厳華麗なバロックに対して、繊細優美な芸術様式がロココです。
貝殻や植物などをモチーフに、曲線を多用したロカイユ装飾がその語源です。
ロココ美術は、貴族たちのサロン文化を中心に発展していきました。
サロンには王族、貴族、哲学者、芸術家など、時代を代表する文化人たちが集います。
貴族文化を中心に発展した、優美で繊細な芸術様式がロココである。
そして、華やかで優雅な貴族の文化が発展していきました。
ヴァトー、ブーシェ、ラトゥール、フラゴナール、ティエポロなどが代表的な芸術家です。
ロココ美術は、優雅で柔らかな女性的な特徴を持ちます。それは、王族や貴族の夫人など、サロンの運営の中心に女性たちがいたからです。
17、18世紀には、社交的な交流の場が発展しました。フランスでは、貴族を中心としてサロンが生まれます。宮廷や貴族の邸宅で、芸術や思想などを論ずる会合が開かれました。イギリスでは、階級に関係なくコーヒーハウスがにぎわいを見せました。現代のカフェの起こりといえます。カフェ文化は、その後フランスでより発展していきました。
19世紀
19世紀に入ると、君主に代わって国民が主権を持つ、近代的な国民国家が形成されていきます。
選挙制度を基本とした、近代的な民主主義の始まりでした。
近世において市民革命が続き、これらをモデルとした近代化が進んだのです。
たび重なる革命によって、市民が国家の中心となっていきました。
国民が主権を持つ、近代的な国民国家が出来上がっていった。
また近代化と同時に、覇権拡大のための帝国主義も強まります。列強となった西洋諸国は、植民地の争奪戦を一層と繰り広げるようになります。
このような西洋社会の世界的優位を不動のものにしたのが、イギリスから始まった産業革命です。
蒸気機関の開発が、めざましい産業の進歩と発展をもたらしました。工業生産力、交通機関の機動力などが飛躍的に向上したのです。
これにより西洋諸国は、農業社会から工業社会へと移り変わっていきました。
近代化とは工業化です。生産力の飛躍的な向上をもたらしました。しかし一方で、公害や長時間労働といった問題も生み出しました。
帝国主義が強まる中、産業革命が起こり、目覚ましい生産力の向上が起こった。
そして工業化の発展により資本家が台頭しました。同時に資本家と労働者の二大階級が生まれます。
これにより資本家が労働者を雇って生産を行う、近代特有の経済制度が始まりました。
すなわち資本主義の始まりでした。
そして19世紀はイギリスの覇権の時代でした。
工業化で圧倒的な生産力を得たことで一気に台頭すると、世界中に植民地を築き、大英帝国として君臨したのでした。
次にドイツやアメリカといった国が、重工業を中心に生産力を高めて台頭していくことになります。
- 新古典主義
- ロマン主義
- 写実主義・自然主義
- 印象主義
この時代、芸術活動の分野においても、多種多様な文化が生み出されます。
国家の主権が、君主から国民へと変わっていったことは、非常に大きなポイントです。
そして目まぐるしい激動の中で、近代的な市民生活が形成されていき、様々な芸術様式が育まれていきました。
日本においても、革命と呼べる明治維新が起こりました。主権が君主から国民へ移行していき、近代化が進んでいきました。
新古典主義
18世紀後半から19世紀初頭のヨーロッパで起こった、ギリシア・ローマの古典を模範とした芸術様式が新古典主義です。
文学、美術、音楽など幅広い分野に渡り広まりました。
ロココの優美で装飾的な様式に反発して、より厳かで理想的な美を追い求める運動でした。
ギリシア・ローマを模範とし、厳かで完璧な美を目指したのが新古典主義である。
また背景として、18世紀後半にポンペイの遺跡が発掘され、当時の人々の古代への関心が高まったことがあります。
さらにナポレオンの登場によって、古典の英雄的な主題が好まれました。
代表的な画家はダヴィド、アングルなどです。
新古典主義は、非常に緻密なデッサンが特徴です。完璧なまでに理想的な美の追求でした。
新古典主義に大きく影響を与えたのが、ナポレオンの登場です。ヨーロッパを破竹の勢いで制圧していったナポレオンは、当時の様々な芸術活動に影響を与えました。自身は宮廷画家にダヴィドらを採用し、その作品を有効な宣伝手段としても活用します。
ロマン主義
古典主義に対抗して生まれた芸術様式がロマン主義です。
文学、美術、音楽など幅広い分野の芸術に広まりました。
それまで抑圧されてきた、個人の主観や感受性を重視するのが特徴です。
堅苦しい道徳や教義からの、解放を目指したものといえます。
また18世紀末から世界各地で起きた、革命運動が影響しています。
それらの革命により、民族意識や国民意識が高まったためです。
個人の主観を重視し、神秘的なテーマを扱ったのがロマン主義である。
文学作品やオリエント世界、同時代の事件などを主題として、様々な表現がされていきました。
代表的な画家はゴヤ、ドラクロワ、ターナーなどです。
ロマン主義では個人の主観が重視されました。夢、感情、神秘といったものが主なテーマとされます。
日本では、大正時代においてロマン主義が流行しました。個人意識の高まりや、近代化による高揚感などから、新しい時代への理想を求める思想として取り入れられました。その世相をロマン主義にちなみ、大正ロマンと呼びます。
写実主義・自然主義
理想化・空想化した美ではなく、自然なあるがままの美しさを表現したのが写実主義・自然主義です。
日常的な身の回りの題材から美を見いだしました。
それは、これまでの伝統に縛られない、芸術表現の探究でした。
自然なあるがままの世界を表現したのが、写実主義・自然主義である。
それらは新しい時代の潮流となり、その精神性は印象派にもつながっていくことになります。
代表的な画家にクールベ、ミレーなどがいます。
何でもない農村の日常を描く、それが美術史においては画期的な出来事でした。
印象主義
印象派と呼ばれる芸術様式は、光の分析からその変化に応じた色調の変化を表現しました。
一瞬一瞬で変化する、主観的な印象です。
細部の正確さよりも、全体的な視覚的効果を重視したものといえます
アトリエを出て戸外制作を始めたことも、印象派の大きな特徴です。
それまでの芸術家は、風景画でもすべてアトリエで制作していました。
一瞬一瞬で変化する、主観的な光と色を表現したのが印象派である。
また、市民の実生活を描いたことも特徴的です。
産業革命から近代的な市民生活が形成されていき、その暮らしぶりが芸術作品にも影響していきました。
印象主義の代表的な芸術家は、マネ、モネ、ドガ、ルノワール、シスレー、ピサロ、ゴッホなどです。
当時のパリにあったカフェ・ゲルボワには、印象派の画家たちをはじめ文化人たちが集い、交流していました。
19世紀中頃の万国博覧会への出品などをきっかけに、日本の文化がヨーロッパで注目を集めます。明治維新の前後、日本から大量の浮世絵、屏風、染め物などが欧米に流出し、大いにもてはやされました。この日本趣味をジャポニスムと言います。当時の芸術家たちのインスピレーションに多大な影響を与えました。
まとめ
いつの時代においても、人間は芸術活動を行なってきました。
それらは、偉大な先人たちの知恵に支えられています。培われた技術や精神を、過去から受け継いできたのです。
そして芸術は人間の生命そのものです。
その生命から溢れる出るエネルギーを、体現したものに他なりません。
肉体と精神がある限り、これからも人間が芸術活動をやめることはないでしょう。