油絵の制作に欠かせないのが画用液です。
油絵では、水ではなくオイルで絵の具を溶くんですね。
このオイルが画溶液です。
油絵では乾性油、揮発性油、乾燥促進剤の3つの画用液を主に使用します。
それぞれを、その特徴と共に詳しく解説しますよ。
乾性油
油絵の制作でメインになるのが乾性油です。このオイルがないと油絵制作は始まりません。油絵具の伸びをよくし光沢と透明性を与えます。
乾性油は描画から仕上げまで必ず用います。油絵具自体も、この乾性油で練られています。
その名の通り、乾燥して固まる性質を持つオイルです。植物を原料につくられます。
油絵の独特の光沢も、このオイルによるものです。このオイルが酸化して固化することで、絵の具がキャンバスに定着します。
亜麻の実からつくるリンシードオイル、
ケシの実からつくるポピーオイル、
ベニバナの種子からつくるサフラワーオイル、
などがあります。
リンシードオイルはわりと早く乾き丈夫な画面になりますが、やや黄色く変色します。
ポピーオイルやサフラワーオイルは乾きはゆっくりです。しかし変色することはありません。
僕はサフラワーオイルを主に使用しています。
入門書としては『油絵Style & Process』がおすすめです。
揮発性油
揮発性油はサラサラした画用液です。その名の通り揮発性で蒸発します。キャンバス上には残りません。
絵の具や乾性油を希釈して流動性を高める際に用います。溶解力があるので、ニスの塗り直しの際にも使います。
また掃除に用いても便利です。
松の樹脂を蒸留してつくられるテレピン、
石油を精製してつくられるペトロール、の2種類があります。
最近は技術の発達で無香性の揮発性油もあります。
乾燥促進剤
油絵の乾燥を早めるために用いるのが乾燥促進剤です。シッカチフとアルキド樹脂系のメディウムがあります。
シッカチフは液状の乾燥促進剤です。
成分中に含まれる金属類(亜鉛、コバルト、マンガンなど)が油絵具の酸化を促します。そのため早く乾燥させることができます。
ただ混ぜる割合を多くすると画面にひび割れを起こすことがあるので注意が必要です。
アルキド樹脂メディウムは樹脂によって乾燥を早めるものです。様々な種類があります。
シッカチフとは異なり、いくら混ぜてもひび割れの危険はありません。固まると透明で強靭な画面をつくります。
僕は乾燥後の作品にホルベインの「ラピッドメディウム」を薄く塗っています。
ベタつきのないサラッとした画面になり、ほこり対策になります。
強靭な塗膜をつくるので画面保護にもなります。使いやすくおすすめの乾燥促進剤です。
調合油
乾性油、揮発性油、乾燥促進剤をあらかじめ混ぜ合わせたものです。ペインティングオイルといった名称で販売されています。下描きから仕上げまで使えます。
個人的には調合油よりも乾性油、揮発性油、乾燥促進剤をそれぞれ単体で揃えるのがおすすめです。
実際に使ってみることで画溶液ごとの特性を把握できます。そして画溶液それぞれの性質を生かした使い分けができます。
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まとめ
油絵制作に欠かせない画溶液、その種類と特徴をお伝えしました。
まずは気軽に色々と試してみてください。
画溶液は、それぞれ単体で揃えるのがおすすめです。
その中で自分に合った画溶液や、その使い方を見つけていけばいいと思います。