「油絵具には毒がある!?」
だとしたら何とも怖いですよね。健康に影響などは無いのか気になるかと思います。
そこで、油絵の毒性に関して詳しく解説したいと思います!
楽観視でも危険視でもなく、客観的な事実を知ることがまず重要です。
油絵具には人体への有害性があるの?
絵の具には毒性のある物質を含んだものがある、というのは事実です。
まず、油絵具には本当に有害性があるのか?ということですが、
ただし、実際には人体への有害性はほぼありません。
仮に毒性のある物質を含んだ絵の具をパクッと食べたとしても、特にすぐさま人体への影響は無いでしょう。
長期間に渡り体内に摂取してはじめて、健康に影響する可能性が出てきます。
つまり、通常に使用する分において油絵具が健康に影響することはない、ということです。
何となくで言っているのではなく、科学的な根拠の上で言っています。
油絵を描く際に、毒性をそこまで心配する必要はありません。
絵の具の有害性は極めて低い!
まず、毒性には主に「急性毒性」と「慢性毒性」があります。
摂取してただちに影響が出る強い毒性が「急性毒性」です。
摂取を半年から1年間ほど続けることで影響が出るのが「慢性毒性」です。
まず、油絵具に急性毒性はありません。
急性毒性は数値で決められています。
そして、毒性の物質を含む油絵具でも、その最も弱い基準値にすら達していません。
つまり、油絵具に急性毒性ほどの強い毒性は無い、ということです。
なので、絵の具で人を毒殺するのは不可能だと言えますね。
しかし、一方で慢性毒性は存在します。
長期間摂取し続けることで、健康へ影響する可能性があります。
しかしながら、絵の具を体内に摂取し続けることなど、現実的に考えられるでしょうか?
油絵具を日常的にパクパク食べる習慣でもない限り、そんなことは起こりえません。
つまり、油絵具の毒性はほとんど無視出来るレベルに低いと言えるのです。
一般に有害とされるカドミウム顔料でさえ、急性毒性の最も低い基準値以下です。
絵の具の顔料は体内に吸収されにくい!
絵具は有害性の低い物質なのです。これは、顔料は水に不溶の物質であり、体内に吸収されないため、と考えられます。
油絵具メーカー クサカベ 公式サイトより
絵の具の色の元である顔料は不水溶性です。つまり水や油に溶けません。
そのため、絵の具は人体が吸収しにくい物質なのです。
絵の具を食べたとしても、ほとんどが体内に吸収されず排出されます。
ではなぜ絵の具に有害性の表示があるの?
油絵具の毒性は無視出来るくらい低いレベルです。
つまり、普通に油絵を描く程度で気にする必要はほとんどない、と言えます。
ではなぜ油絵具には有害性の表示がされているのでしょうか?
これは有害性はほとんどないといっても、毒性のある物質を含んでいるのは事実だからです。
警告というよりも、メーカーとしての情報開示の意味合いが大きいでしょう。
有毒性の絵の具まとめ
油絵具に健康に影響するほどの有害性はほとんどない、というのが事実です。
しかし、毒性の物質を含んでいることも事実です。
どちらの事実も無視せず把握することが重要です。
鉛、カドミウム、水銀、コバルトなどが絵の具に含まれる有毒物質の代表です。
どういった色がどういった毒性物質を含んでいるかまとめました。
シルバーホワイト
最も古くからある鉛白をベースにしたホワイトです。現在では主流を外れています。
顔料の鉛白には慢性毒性による有害性があります。
長期間に渡り摂取し続けることで、慢性中毒となる危険性があります。
現在の油絵具の中では、最も注意するべき色と言えます。
カドミウム系
カドミウムイエロー、カドミウムオレンジといった色に使われる「カドミウム」は毒性があることで有名です。
コバルト系
コバルトヴァイオレットなどに使われる「コバルト」にも毒性があります。
毒性の絵の具を体内に入れてしまったらどうするか?
まず落ち着きましょう。深呼吸でもしてください。
まず、絵の具に急性毒性はありません。
ただちにどうこうなるものではないのです。
上でも書いた通り、絵の具の人体への有害性は極めて低いです。
絵の具の顔料は水や油に溶けないので、人体に吸収されにくいからです。
毒性のある絵の具を体内に入れてしまったとしても、ほとんどが吸収されず排出されます。
まとめ
油絵具の毒性に関して詳しく解説してみました。
正確に事実を知ると、大分見方が変わると思います。
「毒性の物質を含んではいるものの、人体への有害性という点で見れば極めて低い」
というのが油絵具の実際です。
なので油絵を描くにあたって、毒性をそこまで心配する必要はありません。