中世ヨーロッパの戦場では、騎士たちが剣や槍を手に敵と激しくぶつかり合いました。
時代が進むにつれて武器はより高い攻撃力を、防具はより優れた防御力を求めて進化していきます。
この記事では、中世ヨーロッパを代表する剣・鎖帷子・甲冑をはじめ、当時の武器や防具の特徴や役割などについて、歴史の流れに沿ってわかりやすく解説します。
中性ヨーロッパでは、戦術や防具の変化に伴って、様々な武器や防具が編み出されました。
代表的な武器は、剣、槍、斧、棍棒などが一般的です。飛び道具としては弓やクロスボウがあげられます。
これらの基本武器から、大型剣、短剣、ランス、バトルアックス、ハルバード、メイス、フレイルなど、様々な種類が派生していきました。
また代表的な防具としては、盾、兜、鎖帷子(くさりかたびら)、甲冑などがあげられます。
中世ヨーロッパにおいて、最も基本であり重要な武器は、やはり剣でした。
剣は汎用性が高く、接近戦においては非常に強力です。中世全体を通して利用され、また叙任の儀式にも用いられるなど、騎士の象徴でもありました。
騎士にとっては、必需品とも言える装備だと言えます。日本の武士における刀と、よく似た存在でした。しかしながら、剣はつくるのが難しく、また高価であるという難点もあります。
そして西洋では、真っ直ぐな両刃の剣が好まれました。重く、真っ直ぐな刃は、敵を鎧もろとも叩き切るのに便利でした。鋭い刃で切るのと同時に、相手に強烈な衝撃を与えることもできたのです。
さらに中世の後半になると、鎧の隙間から刺し貫くための細身の剣や、槍や騎馬に対抗するための両手持ちの大型剣なども使用されました。
細身の剣ではエストックがあげられます。両手持ちの大型剣は、ツヴァイハンダーやクレイモアといったものが代表的です。
また騎士道物語には、アーサー王の「エクスカリバー」や、ロランの「デュランダル」など、呼び名をつけられた伝説の剣が登場します。
さらに、シャルルマーニュ伝説において、カール大帝が所持したとされる剣「ジョワイユーズ」は実物があり、現在はルーヴル美術館に所蔵されています。
フランス語で「陽気」を意味する剣で、同国では王権を象徴する剣とされ、歴代国王に受け継がれてきたとされます。肖像画の多くにも、ジョワイユーズを身につけた王の姿が描かれています。
しかしながら、この実物の剣が、実際にカール大帝の時代から受け継がれてきたものかどうかの、正確な来歴はよくわかっていません。
中世ヨーロッパの時代全体を通して利用された防具が、鎖帷子(くさりかたびら)です。鉄の輪をつなぎ合わせて作った鎧で、英語ではチェイン・メイルと呼びます。
鎖帷子は、頭から足まで全身を覆うことができ、重さが約10kg前後ありました。普通の鎧と比べれば非常に軽く、また柔軟性があるため、成人男性なら問題無く動き回ることができます。
戦場において非常に有効な防具であり、これを身につけていれば死傷する確率を格段に下げることができました。特に、剣の斬撃に対して、優れた防御力を発揮しました。
鎖帷子などの鎧は、背後や側面など死角から襲われることもある戦場では、非常に重要であり、必需品とも言えるものです。
しかし鎖帷子は、槍や矢などの刺し貫く攻撃や、棍棒や斧などの重い一撃などには弱かったので、戦士は盾を装備する必要がありました。また、非常に高価であるという問題もありました。
14世紀頃になると、騎士は完全防備の甲冑で身を守るようになります。それが、プレートアーマーです。中世の騎士のイメージとして、恐らく最もよく連想される姿ではないかと思います。
冶金技術と製造技術が向上したことで、鎖帷子の防護力を金属板で強化する様になっていったのです。
実はプレートアーマーは、一般に考えられているより動きにくいわけでも、重すぎるわけでもありません。
甲冑一式の重さは約20~30kgほどありますが、その重量は全身に分散してかかりました。そのため頑強な男性ならば、甲胃を着たまま、走ったり、寝転んだり、人手を借りずに馬に乗ったりすることもできました。
たしかに、これを着れば疲れるし、動きも遅くなります。しかし訓練さえすれば、問題無く動き回ったり戦ったりできるようになりました。
こうして、中世末期までに鎧の防護力は著しく向上し、大抵の武器から体を守れるようになります。敵からまともな一撃を食らわないように動き続けている限り、着用者が大きな負傷を負う危険はかなり減りました。
また鎧の防御力が上がったことで盾は不要となり、下馬した騎士は両手が使えるようになりました。このため、両手剣や両手斧などの両手用武器の使用が可能になりました。
しかしながら、こうしたプレートアーマーは非常に高価でした。騎士階級でさえも、なかなか簡単に買えるものではありませんでした。恐らく多くの場合において、相続などにより代々受け継いで使用していたと思われます。
そして、ルネサンス以降は銃火器が発展していき、戦争では白兵戦ではなく銃撃戦が主流となっていきます。それに伴い、全身を甲冑に身を包んだ戦士という姿は、消えていくことになります。