中世ヨーロッパの発展した都市では、ギルドとよばれる同業者組合が結成されていきました。
最初に登場したのは商人ギルドで、現在のオランダ中部の都市ティールで1020年ごろに存在していたものが最古の例とされます。
商人ギルドの目的は、外部の者との競争を避けて商業を独占することでした。しかしそれ以外にも、都市での権利確保や生活面での相互扶助、街路や市門などの整備、都市の警備など、時代が下るにつれて役割は増えていきました。
商人ギルドには主に遠隔地貿易の商人が加盟しましたが、小売商店主や手工業者も加わっていました。
13世紀頃になると、手工業者も独立した同業組合である同職ギルド(手工業ギルド)を組織化していきます。製品の価格統制や品質管理、労働時間、職人や徒弟の数、徒弟の修行制度などさまざまな規制を設けていきました。
そうして発言力を増していくと、やがて有力な都市は、領主や国王から特許状を得て自治権を獲得していきます。
なかでもイタリアのコムーネとよばれる自治都市は周辺の農村を領士として取り込んで拡大し、都市共和国を形成しました。
一方ドイツでは、神聖ローマ皇帝の直轄領となることにより、領主支配から脱して自治権を獲得した帝国都市が誕生します。
さらに、自治都市は皇帝や国王からの干渉を排するために、都市同盟を結ぶようになりました。北ドイツを中心としたハンザ同盟が代表です。
また、自治都市の市政運営は、騎士や有力商人など「都市貴族」といわれた上層階級たちによって行われました。
参政権は、富裕な知識人層や商工業ギルドの正会員、あるいは土地を所有している市民などに限られていました。都市住民の大部分を占める一般の商工業者や下級役人、奉公人、職人の徒弟などには選挙権は無かったのです。
なお、農村を逃れて都市に流入した農奴は、一定期間が過ぎれば農奴身分から解放されて自由民になることができました。その期間は大抵の場合、1年と1日とされます。
ドイツのことわざで「都市の空気は自由にする」と言われるのは、この規則によるものです。そうして都市人口は、増加の一途をたどっていったのでした。